アイキャッチ画像・記事中画像撮影:筆者
安かろう悪かろうは今は昔。国民的ブランドのUNIQLO!
高い品質と手の届きやすい価格で、もはや国民的ブランドとなったユニクロ。そんなユニクロから2015年に登場し、10年近く経った今でも絶大な支持を集める高機能パーカがあるのを知っていますか?
その名も“ブロックテックパーカ”。「持ってるよ~!」という人もいるのではないでしょうか。
高機能と言われると反応してしまうのが山好きというもの。筆者も気になってはいたものの、機能的な登山ウエアを数多く知っているだけに、疑いを捨てきれずいました。そろそろ本気で向き合おうではないかということで、 山で使えるのかどうか、その実力を調査してみました。
ブロックテックパーカの驚きの機能とは!?
見た目は超絶シンプルな“ブロックテックパーカ”。まずは、なぜそんなに高評価なのかを見てみましょう!
キャッチコピーは「雨風を防ぎ、湿気は逃す。」
▲ブロックテックパーカ / 3Dカット
雨風を防いで湿気は逃がすなんて、なんだか登山にも良さそうではないかと思ってしまう魅惑のフレーズ! その機能は実に5つもありました。
- 防水
- 防風
- 透湿
- 耐久撥水
- ストレッチ
これは! 登山用のマウンテンパーカでもお馴染みの機能ではありませんか。
シルエット|つかず離れずの程よいフィット感
撮影:筆者(身長180cm 体重約60kg、Lサイズ着用)
全体のシルエットはこんな感じ。3Dカットが採用されているようで、体に過不足なくフィットします。
生地感とディテール|山ウェアとしてはやや物足りないが、機能面での工夫あり
詳しい機能を見ていきます。生地感は布というよりも、フィルムやゴム素材に近い感じ。2.5レイヤーで、内側に使われている独自素材が防水や防風で力を発揮している様子。
▲裏面
裏地は少しだけ凹凸があり、これによりベタつきや張りつきを抑えてくれるそう。
縫い目から雨が侵入しないように、内側にはきちんとシームテープが貼ってあります。裾の両サイドにはドローコード付き。
フロントジップは止水ジップ。隙間がなく、しっかり防水してくれそうです。
ただポケットは普通のジップです。生地がかぶさっている仕様ですが、雨が侵入しないかやや心配。
また、登山用のシェルだと引手にコードがついていてジップの開閉がしやすくなっていますが、ブロックテックパーカにはなし。雨の日や手袋をしている時にややもたつく可能性がありそうです。
フロントジップの内側は、顎にジップが当たらないよう、ジップ上部がわずかですが隠れる仕様に。よくあるマウンテンパーカーとまさに一緒ですね。
袖口の幅も調整できる仕様です。スキマからの雨や風の侵入を防いでくれそう。
ここまで見た感じだと、完璧ではないものの十分に山でも使えるのかも?!
徹底比較! NO.1パーカーはどれだ!?
本当に優れているのかを見極めるには、同じく優秀なアイテムとの比較が一番。いつも登山で使用している、ハードシェル、ソフトシェル、ブロックテックパーカの3つを、様々な面で比べてみました!
- 種類
- ハードシェル
- ブロックテックパーカ
- ソフトシェル
- 登山使用歴
- 約7年(強風、雨、吹雪、雪山あり)
- なし(街歩き3~4日のみ、雨の日経験なし)
- 約5年(無雪期のみ、強風、小雨あり)
- 価格
- 約¥50,000
- ¥6,990
- 約¥24,000
- 特徴
- ・防水性
・防風性
・透湿性
・耐久性 - ・防水性
・防風性
・透湿性
・耐久撥水性
・ストレッチ - ・通気性
・速乾性
・軽量
・コンパクト
・ストレッチ
軽さ NO.1 は……
軽さはそもそもサイズ感が違うので参考程度に。
軽さ1位はソフトシェルで289g。その次がブロックテックパーカで329g。ハードシェルが最も重く502gでした。
おおよその感覚として、ブロックテックパーカは薄手のソフトシェルと同じくらいか、少し重いくらい、と思っておくと良さそうです。
ストレッチ性 NO.1は……
ソフトシェルに軍配があがりました! ブロックテックパーカも高いストレッチ性を持っていますが、すばやく動くための高度なストレッチ機能を搭載したクライミング向けソフトシェルには及ばず。
耐久性NO.1は……
ハードシェルが他を圧倒!ハードシェルはストレッチ性はありませんが、その分タフさを感じられる生地感です。
一方ブロックテックパーカには耐久性能は備えていないので、岩などで擦れたら生地が傷ついてしまうかも!?
撥水NO.1は……
袖に水をかけて実験! 大きな雫が乗り、各々が撥水力を見せつけています。このまま1時間放置してみたところ……
途中で雨がぱらついてしまいましたが、3者とも譲らず!雫の大きな変化は見られません。撥水については同率1位となりました。
防水 NO.1は……
では防水力はどうなのか?袖を裏返して染み込み具合を見てみたところ……
ハードシェル、全く変化なし!
ソフトシェルも変化なし! 触ってみると、なんとなく他の場所より冷たい感じがしましたが、濡れてはいませんでした。
ブロックテックパーカ、若干染み込みこんでいる……?生地が色がまだらに変化しています。触ってみても濡れてはいませんが、ややひんやりしている感じです。
明確に「染み込んだ」と言えるほどの結果ではありませんでしたが、長時間の強い雨に打たれたらどうなるのかは気になるところ。実際に雨の日に調査が必要そうです。
ということで、妥当な結果ですが防水性はゴアテックス®のハードシェルが1番でした。
気になる点がもう1つ……
横から見た表情で、2者に大きく異なる部分があるのが分かりますか?
そうです、ブロックテックパーカはフードが浅いんです。ハードシェルの方は、ヘルメット着用時にもフードをかぶれるようになっているため、深めに設計されています。先もせり出ていて、雨でも顔周りをしっかりカバーできて安心です。
それに慣れているからでしょうか、ブロックテックパーカのフードは心もとない感じがしてしまいます。果たしてこのフードでも山で使えるのか?こちらも調査が必要そうです。
ブロックテックパーカを街・山で試してみた!
さぁ、いよいよ街や山で試すときがきました! 雨の日の街での着用感についてもご紹介します。
雨の街を自転車で走るの巻
走り始めて10分後、良い感じに雨を弾いています。
20分後、帰宅して軽く雨を払ったのが上の写真。生地に染み込んでいる箇所も見受けられましたが、中の服が濡れるということはありませんでした。ちょっとした雨であれば十分使えそうです。
秋の低山を歩くの巻
アウターシェルをブロックテックパーカにして、秋の低山を1時間ほど散策してみました。
気温は12℃前後で、時折強く風が吹きましたが、風がぬけてしまう感覚はほとんどなし。ブロックテックの名前に恥じない、高い防風性を感じました。
一方でちょっと気になったのが透湿性。風をブロックしてくれる分、湿気や熱は少しこもりやすいように感じました。感覚としては、ゴアテックスより少し蒸れるかな、というところ。でも完全ビニールの雨ガッパよりは通気してくれます。
蒸れたときは前のジッパーを開けたり、袖を捲ってテープで止めたりすると良さそうです。
逆に寒いなと感じたらインナーに防寒着を着ればOK。ユニクロのウルトラライトダウンならさすがのシンデレラフィット。無駄のないレイヤリングで熱を逃しません。
そして改めていいなと思ったのは、シンプルながらに洗練されたデザインです。主張が少ないため、他のギアが心なしか映える気がします。
山から降りても街で浮かないため、シームレスに着れるジャケットだなと感じました。
本降りの中を1時間歩くの巻
ちょっとした雨だったら大丈夫なことは分かりましたが、長時間雨の中を歩いたらどうなのか?
5~7mmくらいの本降りと言って良さそうな雨が降ったので、1時間ほど街中を歩いてみました!
実際の登山を服装を再現するべく、レインカバーを装着したザックを背負い、フードの下にキャップを装着。ベースレイヤーの上には、濡れがわかりやすいインナーシャツを重ね着しました。
※ブロックテックパーカはそもそも完全防水ではないため、雨の中を長時間歩くことは想定されていません。あくまでも実験としてご覧ください。
【1時間後】驚きの結果に!
インナーを見てみるとどこから染み込んだかが一目瞭然。特に濡れていたのが首元から胸下にかけた箇所でした。首元から雨が入ったんだろうと推測されます。
やはりフードが浅めなのが影響している様子。襟も浅いため、直接雨が入り込んでしまいました。
またお腹あたりも濡れていることから、正面のジッパーからも染み込んだ模様。止水ジッパーとはいえ、やはり完全な防水は難しいようです。
ちなみに両脇のポケットもジッパーを閉めていましたが、中まで浸水していました。
一方で背中側を見てみると、なんとインナーは一切の濡れなし!アウターは肩や背中の中心に濡れが集中していますが、インナーまでは染み込まなかったようです。
(インナーの肩部分が若干暗く見えますが、影による暗さです)
1時間雨を受け続けたため、この結果には私自身驚きました。素材自体の防水性は確かなようです。
ただ体を保温できたか、という観点では別の話。素材がゴムに近いものであるせいか、濡れた生地の冷たさをより感じました。万が一雨の中で使わないといけない、となった時はインナーの防寒性を高めるなど、しっかりとしたレイヤリングが必要そうです。
強めのシャワーを当てたら5分弱で浸水
さらに強い雨だとどうなのか?を確認すべく、強めのシャワーで当ててみました。すると5分とたたずに浸水する結果に。
防水性は高いものの、やはり過度な期待は厳禁と言えそうです。
【総評】 着てみたら…… 実力を認めざるを得ない!
完全防水ではありませんが、小雨程度なら撥水性・防水性をしっかり発揮してくれて、防風性も文句なし! アウトドアシーンでは、上高地散策程度のハイキングやロープウェイで訪れる低山、キャンプやフェスにもってこい。梅雨の時期の街着としても大活躍するのではないでしょうか。
ただし、1つ注意点があります。それは、着用しようが新品のまま保管しようが、ブロックテックパーカに施されている樹脂加工は経年劣化するということ。こちらはユニクロのオンラインストアの商品ページの取扱い部分に記載されています。およそ3年くらいで劣化するという口コミもあり、一定期間で買い替える必要があるアイテムであると認識しておきましょう。
進化が止まらない! “ブロックテックパーカ”はコスパ◎!
ブロックテックパーカは、どうやら発売されてから定期的にアップデートしているようです。今回試したブロックテックパーカは2024年時点のもの。その時々の新作は、ユーザーの意見をすぐに取り入れ、改良がなされた歴代最優秀モデルということになります。
これだけの機能性があって7,000円以下なんて、3年着られれば十分過ぎますね!ハードシェルやソフトシェルをすでに持っている人も、ヘビロテ間違いなしのブロックテックパーカを是非試してみてください!
ブロックテックパーカの洗濯方法
ユニクロ公式サイトに記載があるように、お手入れ時は手洗いが推奨されています。
- 洗濯は単独で行ない、漂白剤や蛍光剤の入った洗剤は使用しない
- 長時間水に浸す事は避け、洗濯後は速やかに形を整えて陰干しする
- 家庭洗濯時の乾燥機の使用は避け、風通しの良い所で十分乾燥させた後、保管する