花旦綺羅演戯 ~娘役者は後宮に舞う~ 感想
- 2023/07/16
- 20:30
> 国一番の役者の娘である燦珠《さんじゅ》は、父に倣って国一番の華劇《ファジュ》の花旦《むすめやく》になるのが夢。けれど、女の芸はあくまで余興、男旦《おんながた》と同様に舞台に立つことは望めない。
>「女が女を演じて何が悪いのよ!?」
> 拳を握る燦珠に、美貌の宦官・霜烈《そうれつ》は囁く。
>「秘華園──後宮には女だけの戯班《げきだん》を養う一角がある。そこならばお前の望みも叶えられよう」
> 皇宮の最奥では、皇帝や妃嬪を慰めるべく選りすぐりの女役者が切磋琢磨しているのだという。無論、寵愛や権力争いにも深く関わる蠱毒の園でもあるのだが。
>「歌って踊れるならどこでも良いわ! っていうか天子様に認められたら私が国一番よね!?」
> 意気軒高の燦珠は、まだ知らない。後宮に渦巻く嫉妬や欲望は思いのほかに強いこと。即位したばかりの若き皇帝は大の華劇嫌いであるということを。
> 華劇に懸ける燦珠の熱意は、皇帝の考えを変えることができるのか!? 後宮の陰謀を除くことができるのか……!?
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架空の中華風世界で役者を志す少女の物語。
好きな事に対して真摯で自分を曲げない。
そういう芯の強い女主人公が好きな方は是非読んでみてください。というか読め。
後宮の勝手や作法が分からなくてトラブルを起こす……みたいなシーンがなかったのは個人的に良かった。
乙女ゲーにいそうな怜悧なキャラと見せかけて重度の戯迷(芝居オタク)な楊霜烈好き。
華麟様とオタク同士早口で会話する回とか見たかった。
一人で色々と背負い込んでる霜烈とそんな彼にグイグイ行く燦珠の関係性は良いものだけど、聡明な翔雲と彼を支える香雪の関係も好き。
以下ネタバレ注意。
終盤、燦珠が驪珠に扮して霓蓉の前で鶴鳴千年を舞うシーンは圧巻。読んでて気圧されてしまった。
燦珠が早上的家務を舞ってる時に京胡と月琴を担当していた伶人が自発的に演奏を始めるのは粋。
こういう、主人公が先人から評価されるシーンは心地良い。
喜燕が足を折られる場面は辛かったけど禊として必要だったかもしれない。
そして後日談に出てきた玲雀が気高すぎる。思わず玲雀さんとさん付けしたくなる。
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