男女の区分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/24 05:53 UTC 版)
入浴客の性別の区分としては、男女別々の浴場を建設するか、性別ごとに時間帯や曜日を分けて営業することで対応している。女性用のハンマームでは、浴場内で行われるあかすり、マッサージは全てが女性の係によって行われる。13世紀にルーム・セルジューク朝のもとで建設されたハンマームには、日本の銭湯と同様に一つの浴場が男湯と女湯に分けられているものも存在していた。また、女性を親族以外の男性の視線から隠すイスラームの習慣のため、女性用の浴場の入り口は外から目につきにくい場所に設けられている。 歴史的には、特に男性社会から隔離され、自由に外出することを制限されてきた女性たちにとっては、素顔をさらして集うことができ、女性同士でくつろいで会話を楽しむことのできるハンマームは貴重な社交と情報収集の場だった。母親が息子に相応しい嫁を探すというような実用的な機能や、結婚式前の女性が親族の女性に囲まれて身づくろいしたりする儀礼的な機能も有していた。女湯は概して騒がしい場所と考えられており、イランやレバノンでは女湯のうるささを揶揄した慣用句が用いられている。 中東の都市を訪れた西欧の旅行者たちの書き残した記録には、富裕な階層から庶民に至るまで様々な出自の女性たちが、ベールで顔を隠してハンマームに赴く様がしばしば奇異と驚きの目をもって描写されている。
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