工学鑑定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 04:44 UTC 版)
付着物の性質についての鑑定の他、弁護側は事件を自動車工学的に検討するため、交通事故に関する鑑定経験が豊富な成蹊大学工学部教授の江守一郎を、鑑定人として申請した。「供述は多かれ少なかれ当事者の有利に歪む」とのスタンスを持つ江守は、証言をほとんど参考にせず、物証のみを解析する手法を採った。その結果、1979年2月に提出した鑑定結果において江守は、右後輪のシミ (1) が血液ではないと工学的に断定した。 鑑定書において江守はまず、右後輪のシミは地上高およそ15センチの位置にあるが、被害者頭部を轢き潰したタイヤの接地面から15センチ上方まで血液が飛散することは不合理である、と述べた。仮に骨折の際にバーストがあったとしても、タイヤの側面に血液が接触すると推定される時間は0.04秒であり、そのような短時間ではシミのような血痕は形成されない、とも主張した。そして、タイヤに大量の血液が付着した場合には1回転ごとに明瞭な血痕が路面に残るはずであるが、事件現場にはそれがない、とも述べた。
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