TCFD提言に関する取り組み
当社は、2021年12月、金融安定理事会により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD※1)」による提言への賛同を表明しました。
当社グループでは、「Science Based Targets イニシアチブ(SBTi)※2」の認定を取得し、GHG排出削減に取り組んでいます。TCFD提言に準じた情報開示を積極的に進め、2050年のカーボンニュートラル社会の実現を見据えた気候変動への取り組みを一層推進していきます。
当社の気候変動への取り組みについては、以下のページもご覧ください。
気候変動への取り組み
※1 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
金融安定理事会(FSB)により気候変動がもたらすリスクおよび機会の財務的影響を把握し開示することを目的として設立されたタスクフォース
※2 科学的根拠に基づいたGHG排出削減目標の設定を求める、地球温暖化防止に向けた国際的なイニシアチブ
TCFD提言に基づく気候変動関連の情報開示
気候変動が当社グループにもたらすリスクおよび機会に関する分析・検討結果について、TCFD提言に沿って開示しています。
気候変動関連の情報開示に際し、当社グループでは外部専門家を交えたTCFDプロジェクトを立ち上げ、2024年3月期は、プリント基板関連機器事業を対象に、気候関連の移行リスク・物理リスクを評価し、重要なリスクの特定とシナリオ分析を実施しました。また、気候関連の事業機会についても特定しています。これにより、過去に実施した半導体製造装置事業、ディスプレー製造装置および成膜装置事業 、グラフィックアーツ機器事業と合わせて、当社グループの主要4事業における評価が一巡しました。
詳細については、以下のPDFをご覧ください。
TCFD提言に基づく気候変動関連の情報開示(2024年5月) ※2024年10月 実績値更新
TCFD提言に基づく気候変動関連の情報開示(2023年5月) ※2023年10月 実績値更新
TCFD提言に基づく気候変動関連の情報開示(2022年5月)
1.ガバナンス
気候関連のリスクと機会については、CEOを責任者とする「グループリスク委員会」および「CSR委員会」において、リスク管理の方向性の策定や取り組みの進捗管理などを行っています。それぞれの委員会は半期に1回以上開催され、その場での決議内容は取締役会に報告されます。また、外部専門家を交えたTCFDプロジェクトを立ち上げ、主要事業に対するシナリオ分析およびリスクと機会の再評価を進めています。
2024年3月期、気候変動関連では「気候関連開示プロジェクト」や「事業活動における脱炭素戦略」などを、経営会議および取締役会に報告しました。
当社のコーポレート・ガバナンス体制については、以下のページもご覧ください。
コーポレート・ガバナンス体制
2.戦略
シナリオ分析
下記手順に従い、半導体製造装置事業、ディスプレー製造装置および成膜装置事業、グラフィックアーツ機器事業、プリント基板関連機器事業を対象として特定した、事業ごとの気候関連の重要なリスクと機会について、シナリオを使用して2030年における財務影響を評価しました。シナリオの検討・ 作成においては、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオなどを参照し、地球温暖化対策が進まない現状維持のシナリオである3℃シナリオと、地球温暖化対策が進む1.5℃シナリオを選定しました。
1)各事業にとって重要な気候関連のリスク・機会の検討
2)シナリオの検討、作成
3)シナリオをもとにしたリスク・機会の評価と財務影響の評価
4)対応策の検討
シナリオ分析の結果と財務影響(当社グループにおける重要なリスクと機会)
リスク・機会の種類 | リスク・機会の内容 | 財務影響 |
3℃ |
1.5℃ |
|
---|---|---|---|---|---|
移 |
政策・ 法制度 |
既存の製品・サービスへの規制等 | 製造コストの増加 | 小 | 中 |
技術 | 新技術への投資 | 開発コストの増加 | 中 | 中 | |
市場 | 顧客の製品へのニーズ | 売上高の減少 | 中 | 大 | |
サプライチェーンへのGHG排出量削減要請 | 製造コストの増加 | 中 | 中 | ||
エネルギー市場の変化 | 売上高の減少 | 小 | 中 | ||
評判 | 顧客からの評判の変化 | 売上高の減少 | 小 | 中 | |
優良な人的資源の確保 | 管理コストの増加 | 小 | 中 | ||
機 会 |
製品および サービス |
省エネルギーに貢献する新製品などの開発 | 売上高の増加 | 中 | 大 |
顧客からのESG対応に関する要請への対応 | 売上高の増加 | 小 | 中 | ||
異常気象の激甚化と頻度の上昇 | 売上高の増加 | 中 | 中 | ||
市場 | 高性能化・省エネルギー化による半導体の需要増 | 売上高の増加 | 大 | 大 | |
製品やサービスの製造、販売(パワー半導体の需要増) | 売上高の増加 | 中 | 中 | ||
製品やサービスの製造、販売(MEAなどの需要増) | 売上高の増加 | 小 | 大 |
2030年を想定した財務影響度 小:2%未満、中:2%~10%未満、大:10%~30%
物理リスクに関しては、自社製造拠点や主要サプライヤー における浸水リスクなどが抽出され、拠点ごと・事業ごとにシナリオ分析を行いましたが、事業継続の観点で製造拠点の浸水対策やサプライチェーンの複線化などの対応を実施してきた成果もあり、2030年時点における影響は小さいと評価しています。
気候変動への取り組み・対応策
当社グループが顧客要求を満たす環境性能を備えることが出来るように、事業所のGHG排出量の削減に加えて、製品稼働時のGHG排出量の削減に取り組んでいます。
中核事業である半導体製造装置事業においては、エネルギー消費、水および薬液消費量のより少ない半導体製造装置や、省エネ化に貢献する先端半導体の製造を実現する半導体製造装置のニーズに応えるべく、研究開発に注力しています。当社グループ単独での取り組みに加えて、環境対応開発を一層加速させるため、業界他社や業界団体とも協働しています。
3.リスク管理
「グループリスク委員会」にて、気候関連リスクを含む当社グループ全体を俯瞰したリスクの洗い出しと重要リスクの特定を行い、リスク管理の方向性を定める取り組みを行っています。
2024年3月期はTCFDプロジェクト活動において、プリント基板関連機器事業を対象とする気候関連のリスクと機会を網羅的に抽出し、各々のリスクと機会の影響の大きさと発生可能性を3x3のマトリックスで評価しました。各事業における気候関連の重要なリスクと機会を特定し、その評価を基に、当社グループにとって重要な気候関連のリスクと機会も特定しました 。
● 気候関連のリスク・機会の評価基準
重要と評価された気候関連のリスクと機会について、「グループリスク委員会」にてリスク管理を行い、取締役会による監督体制の下、当社グループの戦略に反映し、対応します。
4.指標と目標
事業を通じて脱炭素社会の実現に貢献することが気候関連リスクの低減と機会の増大に繋がると考えます。事業活動によるGHG排出量(Scope1+Scope2)に加え、特に排出量が大きく顧客の関心も高い、販売した製品の使用によるGHG排出量(Scope3カテゴリー11)の削減に取り組んでいます。
目標と実績については、以下のページをご覧ください。
気候変動への取り組み