兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑や贈答品受領疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県は11日、文書を作成した元県幹部の男性=7月に死亡=による内部通報を受けた調査結果を発表した。斎藤氏による職員へのパワハラ疑惑については、強く叱責されたと認識する職員がいたものの「確証までは得られなかった」とした。また、贈答品受領についても斎藤氏の対応に問題があったとの指摘はなかった。専門家は「中立の立場にある今後の第三者機関の調査結果に注目したい」と述べた。
男性の告発文書を巡っては、県議会調査特別委員会(百条委員会)が真偽を解明するために調査しており、来年2月に最終報告書を発表する見込み。このほか、県が設置した第三者委員会も今年度中をめどに報告書をまとめる予定だ。百条委が実施した県職員アンケートでは、斎藤氏のパワハラを見聞きしたことがあるとの回答が職員全体の約42%に上っている。
11日に県が公表した「パワハラの確証が得られなかった」とする調査結果について、公益通報制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授は「(百条委の)県職員アンケートの結果を踏まえると違和感のある結論。兵庫県は公益通報者保護法の法定指針の違反状態が続いていると認識している」と述べた。
男性は今年3月、一部の報道機関や県議らに告発文書を配布し、4月には文書の内容の一部を県の内部に設けられていた公益通報窓口に送付。県は通報を受けた内部調査の結果を待たずに5月、「(文書の)核心部分が事実ではない」として男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
日野教授は「懲戒処分が先んじて行われたのは公益通報案件ではなく、人事案件として取り扱い、人事課の調査を優先させてしまったため。やはり内部通報の調査結果を待ったうえで処分を判断すべきだった」とし、「今回、男性の通報内容が虚偽や単なる臆測ではないことが明らかになった。この調査結果を踏まえれば、通報に対する不利益処分はできなかったのではないか」と話した。
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