7日投開票された東京都知事選で、前参院議員の蓮舫氏=立憲民主党を離党=は3選した小池百合子都知事に敗れるばかりか、新鋭の前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏の後塵(こうじん)も拝し、3位に沈んだ。都内62市区町村の中で、蓮舫氏が小池氏に次ぐ2位だったのは9市町村にとどまる。23区は全てで石丸氏に敗れ、3位となった。蓮舫氏について衆院選くら替えを期待する支援者の声は根強いが、選挙区を決める際は慎重な分析が必要となる。
集票力の低下あらわに
「私はもう一度、一緒に、政治家として働きたい。もったいないもの、蓮舫」
立憲民主党の辻元清美代表代行は7日夜、都内のホールに設営した選挙事務所で蓮舫氏にこう語り掛けると、支援者が詰めかけた会場から「そうだ!」の掛け声と拍手が湧いた。開票作業が進む中、敗北が確実視された蓮舫氏に地方議員や支援者が寄せたメッセージは、都知事選出馬への感謝に加え、国政復帰を切望する思いがにじむものとなった。
ただ、都知事選の結果は蓮舫氏の集票力の低下を裏付ける形となった。
小池氏の得票は291万8015票で得票率は42・8%。石丸氏が165万8363票で24・3%。蓮舫氏は128万3262票で18・8%だった。
蓮舫氏は参院選東京選挙区で、平成22年、28年に171万票、112万票をそれぞれ得てトップ当選。所属政党の同僚や今回の都知事選で蓮舫氏を支援した共産党の候補らが出馬し、票が分散される中でも抜群の集票力を発揮していた。
三多摩地域で推す声も
今回、石丸氏に勝利した自治体は小金井市、東大和市、清瀬市、多摩市、日の出町、檜原村、奥多摩町、大島町、御蔵島村の4市3町2村だった。御蔵島村は石丸氏37票に対して蓮舫氏は39票で、9市町村の大半が接戦だった。石丸氏に全敗した23区でみると、石丸氏に対する惜敗率が最も高かったのが北区の88・6%。中央区は51・9%と最も低かった。
蓮舫氏の得票率について、区部、市部、島部に分けると、それぞれ18・2%、20・2%、13・6%だった。市部に比較的強い傾向だった。
得票率が高かった自治体は23・3%の武蔵野市がトップで、国立市、多摩市、小金井市が続く。5位は杉並区で22%と、23区で最も得票率が高かった。
蓮舫氏を巡っては、目黒区と大田区西部からなる衆院東京26区で出馬する見方も永田町でくすぶっている。
一方、目黒区の得票率は20・6%と平均の18・8%を上回ったものの、大田区全体では17・4%と必ずしも蓮舫氏が強い地盤を築いている状況ではない。
東京都の野党関係者は都知事選の結果を踏まえて、「(都西部の)三多摩地域で、『政治とカネ』の問題をテーマに切り込める選挙区での出馬が蓮舫氏にとって良い道ではないか」と分析している。(奥原慎平)