【北京=三塚聖平】中国で4日昼、NHK海外放送のニュース番組が、中国共産党・政府が学生らの民主化運動を武力鎮圧した1989年の天安門事件から35年となったことを伝えた際に放送の一部が遮断され、カラーバーと「信号異常」を示す画面に切り替わった。中国当局が制限を加えたとみられる。
放送は数分間にわたって遮断された。同日朝に放送されたNHK海外放送のニュース番組でも、天安門事件について伝えた際に数分間、遮断状態が続いた。
中国では天安門事件に関する情報が厳しく制限されている。同日の中国メディアでは事件に関する話題は見当たらない。追悼などの動きは徹底的に封じ込められており、若い世代を中心に事件を知らない人も多くなっている。
2021年に採択された中国共産党創建100年の歴史を総括する「歴史決議」は、天安門事件について「重大な政治風波」と定義し、党と政府が「動乱に旗幟(きし)鮮明に反対した」と位置付けた。