以毒制毒

「心は女」の男逮捕、LGBTゴリ押しした議員らに説明求める 有本香

稲田氏
稲田氏

恐れていたことがついに起きた。13日、三重県桑名市にある温泉施設の女性風呂に入ったとして、43歳の男が逮捕された一件だ。

男は女装して受付を通り、浴場で体を洗っていたという。逮捕後、男は「心は女なのに、なぜ女子風呂に入ってはいけないのか、まったく理解できません」と供述しているという。

今年6月、国会で強引に可決成立させられたLGBT理解増進法の〝理念〟とやらに則(のっと)り、仮にこの一件が不起訴にでもなれば、今後警察は類似事件での逮捕を躊躇(ちゅうちょ)するようになるだろう。

同法が、その後の、性別を巡る最高裁判決にも影響したことを考えれば当然の帰結である。

天下の悪法によって、日本の女性、女児の安全が脅かされつつある。女性は温泉はもちろん普通の銭湯や、公衆トイレも容易に利用しにくくなる。

ネット上のX(旧ツイッター)では、「稲田朋美」「稲田さん」がトレンド入りした。LGBT理解増進法制定に積極的だった、自民党の稲田朋美議員の発言映像とX投稿が掘り起こされ、「責任をとれ」という声があふれた。稲田氏の発信はこうだ。

「公衆浴場における衛生等管理要領では浴場と脱衣所は男女を区別することになっています。厚労省によればこの男女は身体的特徴による区別を指します。従って心が女性で身体が男性の人が女湯に入るということは起きません。また理解増進法を制定することでこのようなルールが変わることもありません」(4月2日のX)

稲田氏が「起きません」と断言したことが、いま起きている。

もっとも、市井の国民の多くはこうした事態が起きることを当たり前に予測していたのだが、弁護士資格を持つ、法律のプロである稲田氏はなぜ、こんな馬鹿げたことを言ったのだろう。

LGBT法を可決・成立した参院本会議=6月16日
LGBT法を可決・成立した参院本会議=6月16日

ふと13年前、中国資本による土地買収の件で、稲田氏にインタビューしたときのことを思い出した。新潟で浮上していた中国総領事館の用地買収問題について、氏はこういった。

「法律はこちらにとってよいように読めば(解釈すれば)いいんですよ。条約だって同じ。日本の国益にかなうように読めばいい」

私はこの発言を頼もしく思う一方、危うさを感じた。稲田氏はLGBT理解増進法制定の過程でまさに、「自分にとってよいように」公衆浴場のルールを読み、法律案を読もうとしていたのではないか。

自民党の熱烈支持者の中には、「変質者は逮捕されたのだから問題ない」と強弁する人々がいる。これこそ、とんでもないことだ。

本来、ルールは社会の秩序を守るために制定されるもの。その大原則が一部の者の思い込みや利益のために歪(ゆが)められるなら、これは私たちの社会の重大な危機である。

稲田氏をはじめとするLGBT理解増進法をゴリ押しした議員、特に与党議員らに説明を求める。そして、もちろん法改正を求める。ダンマリを決め込むなら、国会議員のバッジを直ちに外してもらいたい。

【「心は女」論争】逮捕の男「なぜ女子風呂いけないのか理解できない」

有本 香

ありもと・かおり ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

有本香の以読制毒(zakzak)

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