学習院大学(東京都豊島区)に4月、新図書館(東1号館)がオープンした。構内で最も高い地上14階建てで、目白の杜(もり)と呼ばれるキャンパスの中で、木々の間から1棟、空に向かって顔をのぞかせている。
中層の7階には、目白の杜と池袋の高層ビル群が一望できる個人学習室(要ネット予約)が8室設けられた。
同大は4年間、全学生が同じキャンパスに通えることで、文系・理系の枠を超えて交流でき、「多様性に触れられる」のが特長だが、新図書館はそうした動きを加速させることも期待されている。
というのも同大の図書館機能は、大学図書館のほかに法学部・経済学部図書センター、理学部図書室、文学部の各学科図書室などに分散している。これらの施設から相当数の書籍を新図書館へ移管・集約したため、多くの学生が学部学科を問わず、ここを訪れる機会が増え、集って交流することになるからだ。
収蔵数は85万冊にも上るが、蔵書の大部分を書庫に収める閉架式にはせず、ほとんどを手に取れるようにした。
図書館長も務めた経験をもつ荒川一郎学長は「閉架式で窓口に閲覧請求する形にすると、必要な本にしか触れなくなる」としたうえで、「本を探すとき、近くに並ぶさまざまな本にも興味を持って手を伸ばす経験は視野を広げるためにも大切だから」と説明する。
今年の新4年生は入学以来、コロナ禍で多様性に触れる機会も限られた。新図書館の誕生は、その分を取り戻すことも含めて、キャンパスライフをより充実したものにする契機にもなりそうだ。