渡したのは「覚醒剤ではなく氷砂糖」 密売人が仲間の証言を否定、紀州のドンファン公判

須藤早貴被告=平成30年6月、和歌山県田辺市
須藤早貴被告=平成30年6月、和歌山県田辺市

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=を致死量の覚醒剤を飲ませ、殺害したとして、殺人罪などに問われた元妻、須藤早貴被告(28)の裁判員裁判の第18回公判が7日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)で開かれた。薬物密売人の男性が証人として出廷し、別の密売人が「被告に覚醒剤を渡した」とした証言を否定し、中身は「覚醒剤ではなく、氷砂糖だった」と述べた。

10月の第7回公判で出廷した別の密売人は、野崎さんが急性覚醒剤中毒で死亡する前月の平成30年4月、野崎さん宅近くの路上で「女性に覚醒剤入りの封筒を渡し、十数万円を受け取った」と証言。「渡した女性は被告で、覚醒剤も本物」と明言する一方、調達方法については曖昧な説明をしていた。

この日出廷したのは、この密売人とともに活動していた男性。同月7日に携帯電話に女性の声で覚醒剤3グラムの注文が入り、田辺市へ向かったことは認めたものの、封筒に入れたのは「偽物」と説明。インターネット掲示板で隠語を使って客を募集していたが、「当時は覚醒剤を入手できる人脈はなかった」と述べた。

検察側はこれまでの公判で、この注文には被告の携帯電話が使われ、直近に被告がコンビニで10万円を引き出していたことを明かしている。

明かされた覚醒剤の接点と55歳差婚の実態 紀州のドンファン公判18人が証言

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