韓国政府が6日、いわゆる徴用工訴訟問題の解決策を発表したことについて、キヤノングローバル戦略研究所の伊藤弘太郎主任研究員は産経新聞に談話を寄せた。
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韓国政府は解決策を発表するまで、討論会を開催するなどして原告側への丁寧な対応を重視した。2015年の慰安婦に関する日韓合意では、韓国政府に対する支援団体の反発などがあり、反省を生かした形だ。
近年はロシアによるウクライナ侵略やその対応を含む中国の動向など韓国を取り巻く安全保障情勢が厳しさを増しており、問題解決を急ぐ韓国政府の対応に影響したとみられる。
韓国は表向きには「北朝鮮の脅威」に言及するが、当然、中国に対する脅威認識はある。尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権には中国に関して、日米韓3カ国の安保関係が強化されていたときは韓国とまともに対話をしてきたが、文在寅(ムン・ジェイン)前政権で3カ国の協力が弱まったときは韓国を軽視していたと考え、その見方は政権発足から一貫している。
韓国の安保協力は日米韓の枠組みを超え、オーストラリアやフィリピン、ニュージーランドなどインド太平洋の国々に拡大している。そうした流れの中で、日本との協力が重要だとの認識が高まっている。
今後は日韓両首脳が徴用工問題の終結に向け、両国内で反発する人々をどう説得するかが重要となる。(聞き手 岡田美月)