年の瀬記者ノート 埼玉

「自分が殺したんじゃないかと思って怖かった」 高齢ドライバー事故で15歳少女亡くした母の言葉

稲垣聖菜さんの一周忌には事故現場に多くの花束やお菓子が供えられていた=23日、さいたま市浦和区
稲垣聖菜さんの一周忌には事故現場に多くの花束やお菓子が供えられていた=23日、さいたま市浦和区

 12月23日の午後、さいたま市浦和区の市道脇にある「現場」に、お供え物の菓子を持って足を運んだ。既に多くの花束が手向けられ、道行く人は普段と違う景色に少し驚いた様子で、歩みを緩めながら通り過ぎていく。

 1年前、ここで同市の公立高1年、稲垣聖菜さん=当時(15)=が、80歳の男が運転する車にはねられ、死亡した。手を合わせながら、記者が取材した母親の智恵美さん(47)や、同級生のことを思い出した。

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 今年は秋から年末にかけて全国的に高齢ドライバーの事故が多発し、社会問題となった。埼玉県内でも聖菜さんの事故を受けて、高齢者の免許制度の改定などを求めるインターネット上の署名活動が行われていることを知り、11月中旬、聖菜さんの自宅を訪ねてみた。智恵美さんは、突然現れた記者の取材に応じてくれた。

 通された部屋には、「気力の充実」と力強く書かれた聖菜さんの書道作品が飾ってあった。智恵美さんは「筆2本をだめにするぐらい熱心に練習していた」と、まな娘の様子を語った。ほかにも、小学2年から始めた新体操、小学時代の理科展のことなど、思い出話は尽きなかった。

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