富士通が提案する攻めのモダナイゼーション 経営とITの抜本的強化を

経済産業省が2018年に「DXレポート」で指摘した「2025年の崖」が目前に迫っている。これは、デジタル化への対策が後手にまわった企業が2025年以降に直面するデジタルリスクのことだ。更新が遅れた多くの企業で基幹系システムの老朽化によってメンテナンスのコストがかさみ、セキュリティの面でも深刻なリスクが生じる可能性が高まっている。これでは競争力の低下や企業活動の停滞さえも懸念される。同レポートは、DX（デジタルトランスフォーメーション）の取り組みが遅れれば、2025年以降、日本全体で年間最大12兆円規模の経済損失が発生しかねないと警鐘を鳴らしている。

企業にとって生命線とも言うべき基幹システムについて、旧態依然としたメインフレームから最先端のクラウドシステムなどへ移行し、「モダナイゼーション」、つまり近代化を図ろうと呼びかけるのが本書だ。これにより組織内に埋もれるデータを利活用し、DXだけでなく、SX（サステナビリティトランスフォーメーション）やGX（グリーントランスフォーメーション）を推進することもできる。レガシーシステムの刷新にとどまらない包括的かつ戦略的な経営の取り組みが、本書の言う「攻めのモダナイゼーション」だ。

だが、どこから手を付けるべきか途方に暮れる人も多いだろう。実際、編者も「情報システムのモダナイゼーションの推進は非常に難しい」と認めている。そこで推奨されているのが次のプロセスだ。まずは業務・IT資産の現状分析と可視化を徹底し、あるべき姿を目指してグランドデザインを描く。次に情報システム全体のスリム化を図った上で、本丸のモダナイズに進む。このプロセスを間違いなく踏襲するのがセオリーだ。