[沖縄経済危機 緊急事態再延長の衝撃](1)
「県の新型コロナ対策のまずさを、かばうことができなかった」
政府が沖縄県の緊急事態宣言の延長方針を決めた7日夜。県内の観光団体幹部の携帯電話が鳴った。菅義偉首相本人からだった。
「業界の死を意味する」。窮状を訴える幹部に、首相は県立中部病院でのクラスター(感染者集団)公表遅れや、県専門家会議委員の辞任など県の「失策」を列挙し、理解を求めた。
県内の感染状況の指標は一部がステージ4(爆発的感染拡大)水準。さらに夏場は人流が多くなるため政府は宣言延長を決めた。
経済界は悲鳴を上げる。 「8月まで? いやいや、あり得ない」。7日、一報を聞いた観光団体幹部は大きく首を振った。まん延防止等重点措置への移行を見据え8日からは県外向けの旅行商品を発売する旅行社もあった。「宣言延長は県の失策だ」。批判の矛先は玉城デニー知事に向いた。
5月の重点措置で県は酒類提供自粛に踏み切らなかった。ワクチン接種は進まず、医療界とのきしみも生じている。「政府は沖縄を信用していない」。離島自治体や業界から要望を受け、県を介さず首相官邸にワクチン確保を直談判した県内保守系重鎮は、こう断言する。
7日の政府の専門家組織会議に出席者した一人も、決定は政治主導だったとの見方を示す。「県内の数値は悪くないだけに残念だ」と声を落とした。...