全国高校サッカー選手権決勝が13日、東京・国立競技場で行われる。7大会前のファイナルと同じく流通経大柏(千葉)と前橋育英(群馬)が対戦し、ともに2度目の優勝を目指す。都内で決戦に備えた前橋育英はジョーカー的役割を担うドリブラーのMF白井誠也(2年)が日本一へ気持ちを高めた。
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前橋育英にはスーパーサブ白井がいる。161センチと小柄で幼少期からの丸刈り頭がトレードマーク。その武器は、相手につかまらない俊敏性に富んだ“こだわり”のドリブルだ。「メッシ、アザールを参考に、小さい時からずっと練習しているのが今につながっています」。小さな体を逆手に、相手の懐へ潜り込む。食い付かせたところで次々とはがしていく。そのポイントは「間合い」。相手包囲網をまさにジャックナイフのように切り裂いていく。
準決勝の東福岡戦でも後半開始から投入されると、40メートルドリブルでチャンスを広げ、最後は自らゴールまで決めてみせた。流通経大柏は激しいハイプレスから畳みかけてくる剛のチーム。1点勝負は必至で、白井の投入どころが優勝へのカギとなる。山田耕介監督は「相手が疲れた時に出てくるとガーッと行けちゃいますんで、(相手は)やだなと感じますよね」。白井の動きによってオノノジュ慶吏、佐藤耕太の3年生2トップもより自由にプレーできる。
白井は小学生時代の19年12月にバディーSC(神奈川)で日本一に輝いている。「あの経験が今の自信につながっている」。あれから5年、再び全国制覇に挑むが「相手の守備が堅い中でドリブルで行く場面は重要になると思います」。ここは柔を持って剛を制す。【佐藤隆志】