「投高打低」得点力が下がった要因は本塁打とOPSの低下/調査報道2024〈2〉

近年、日本プロ野球は急速な「投高打低」が続いている。昨季、両リーグで規定打席に届いた打者のうち、打率3割を超えた選手は3人しかおらず、日本人はソフトバンク近藤だけ。一方、防御率1点台で規定投球回に達した投手は6人もいる。西武時代の松坂大輔氏の最高防御率が2・13(06年)だったことを考えれば、どれだけ異常な現象が続いているか、分かってもらえるだろう。打者の長打率は下がり続け、投手の球速は上がり続けている。「投高打低」の原因はなんなのか? 今後も続くのか? さまざまな角度から分析し、「投高打低の真実」として、6回連載で検証してみよう。

プロ野球

18年、西武がパ・リーグ制覇。3番浅村、4番山川を中心とした「山賊打線」が爆発。チーム計792得点をたたき出した

18年、西武がパ・リーグ制覇。3番浅村、4番山川を中心とした「山賊打線」が爆発。チーム計792得点をたたき出した

打率は1分3厘下がっただけだが本塁打ほぼ半減

前回は1試合の平均得点が6年連続で下がり続け、日本球界はかつてないほどの「投高打低」の流れが加速していることを紹介した。ではなぜ、得点力が下がったのだろう? 今回は「打低」の部分に焦点を絞って考えてみたい。

まずはプロ野球で1試合平均本塁打数、平均打率、平均OPS(出塁率+長打率)が下がりはじめた18年からの数字を並べてみた。

◆1試合平均本塁打数、打率、OPS


18年0・982割5分6厘・726
19年0・982割5分2厘・717
20年0・892割5分  ・709
21年0・842割4分6厘・691
22年0・762割4分4厘・673
23年0・732割4分3厘・666
24年0・572割4分3厘・648

これらの数字の中で同じなのは、18年と19年の本塁打数と、23年と24年の打率。本塁打数は20年から5年連続で下がり、打率は19年から下がり続け、5年目で足踏みしたことになる。

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プロを中心とした野球報道が専門。取材歴は30年を超える。現在は主に評論家と向き合う遊軍。
投球や打撃のフォームを分析する企画「解体新書」の構成担当を務める。