動物との共生を掲げた「動物王国」で知られ、ムツゴロウの愛称で親しまれた作家の畑正憲(はた・まさのり)さんが5日午後5時53分、心筋梗塞のため北海道中標津町の病院で死去した。87歳。福岡県出身。葬儀は親族で執り行う。喪主は、妻純子(じゅんこ)さん。

東大理学部卒後、学習研究社(現学研ホールディングス)に入社するが、退職して動物などをテーマにした作家になり、68年「われら動物みな兄弟」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。

71年に北海道厚岸郡の無人島にクマや馬を連れて移住。72年には北海道浜中町に「ムツゴロウ動物王国」を建設。イヌやクマなどさまざまな動物と暮らしながら、自然保護活動も続けた。80年に始まったドキュメンタリー番組「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」が約20年も続く人気シリーズとなるなど、テレビなどにも数多く出演。動物への深い愛情と飾らない人柄もあって、お茶の間などで幅広い人気を集めた。04年には東京あきるの市に「東京ムツゴロウ動物王国」を開園したが、07年に閉園している。

86年には、自著が原作の映画「子猫物語」で、監督・脚本を担当、大ヒットさせた。同映画は先日亡くなった坂本龍一さんが音楽監督を担当していた。80年の映画「遙かなる山の呼び声」などに、出演したこともある。

著書に「ムツゴロウの博物志」「ムツゴロウの青春記」といったエッセー、小説など多数。菊池寛賞も受賞。愛称の「ムツゴロウ」は魚のムツゴロウに風ぼうが似ていることから、つけられたという。

マージャン好きとしても知られ、プロ級の腕前だったという。日本プロマージャン連盟の最高顧問も務めた。