「おとこ川をんな川」唯川恵著
「おとこ川をんな川」唯川恵著
元号が昭和に変わった年の正月、金沢・ひがしの花街にある「梅ふく」の芸妓、朱鷺は建具職人の浩介と会っていた。「僕の嫁さんになってくれんか」と言われて朱鷺は言葉につまる。
7歳で花街に売られてきて13年。ようやく年季明けとなるが、花街にいた自分が所帯をもつことなど夢だと思っていたからだ。だが、結婚という夢を見るようになった朱鷺は、水揚げの相手であった門倉との夜に疲れを感じるようになる。
そんなとき、浩介が行方不明だと思っていた父親が見つかり、本妻に子どもがいないため父の家を継ぐことになったと告げた。その父親とは、門倉だった。(表題作)
花街の女たちを描く連作長編。
(文藝春秋 2090円)