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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.149【臨時号】2004.2.12 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.149 です
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世界情報社会サミット(WSIS:World Summit on the Information Society)。
情報社会におけるさまざまな問題を協議し、今後に向けた行動計画を策定する
このサミットにおいて、インターネット管理のあり方が話題となったのは記憶
に新しいところです。このテーマについての情報共有の場として開催された報
告会の模様をお届けします。

もう一つ、主にヨーロッパ地域のIPアドレス等の管理を行うRIPE NCCのミーティ
ングより、IPアドレスポリシーの最新動向をお届けします。

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◆ 目次
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【 1 】世界情報社会サミット(WSIS)におけるインターネットガバナンス問
       題に関する報告会レポート
【 2 】RIPE 47 報告


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【 1 】世界情報社会サミット(WSIS)におけるインターネットガバナンス問
       題に関する報告会レポート
                                      JPNIC ドメイン名事業部  入交尚子
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2004年1月29日(木)、東京都千代田区の日本教育会館にて、「世界情報社会サ
ミット(WSIS)におけるインターネットガバナンス問題に関する報告会」を開
催しました。

世界情報社会サミット(WSIS)は情報社会をテーマとした国連サミットであり、
2003年(スイス・ジュネーブ)と2005年(チュニジア・チュニス)の2回に分
けて開催されるものです。この報告会では、2003年12月10~12日に開催された
第1回目のジュネーブ・サミットの関係者3名を講師に迎え、約60名の聴衆を前
に、サミットの概要とそこで提起されたインターネットガバナンス問題につい
て報告してもらいました。


◆サミットの概要

まず、総務省 総合通信基盤局 国際部 国際政策課統括補佐の近藤勝則氏より、
サミットの概要についての報告がありました。このサミットは、各国首脳レベ
ルで情報社会に関する共通のビジョンの確立を図り、さらにそのビジョンの実
現のために基本宣言および行動計画を策定することを目的として開催され、
176ヶ国から約2万人(57ヶ国の政府首脳と83名の情報通信大臣を含む)が参加
したとのことです。

ジュネーブ・サミットに先立ち、2003年1月には、アジア太平洋地域における
準備会合として、小泉首相の出席の下に東京会合が開催され、同地域における
合意事項を示した東京宣言が採択されています。

近藤氏自身がドラフティングに携わったという東京宣言には、ブロードバンド
の重要性やユビキタスネットワークの概念を世界に発信するという日本政府の
主張が盛り込まれ、ジュネーブ・サミットで採択された基本宣言・行動計画に
もこれらの趣旨が記載されたということです。

この他にも、基本宣言・行動計画が示す「情報社会に向けた共通ビジョン」や
「情報社会の鍵となる原則」「情報通信技術(ICT)に関する世界的目標」に
はさまざまな項目が記載されていますが、その中で主な論点となったものが、
デジタルディバイド解消のためのデジタル連帯基金の設立と、この報告会のテー
マであるインターネットガバナンス問題であったとの報告がありました。


◆サミットにおけるインターネットガバナンス問題

続いて、総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 前データ通信課調査官の山
田真貴子氏と、アジアネットワーク研究所/国際大学GLOCOMの会津泉氏が、そ
れぞれ日本政府と一般インターネットユーザーの立場から、サミットで議論さ
れたインターネットガバナンス問題について報告を行いました。

インターネットガバナンスの問題については、2002年7月より始まったサミッ
トの準備プロセスを通して、現行の民間主導による柔軟な体制を支持する先進
諸国(米国、カナダ、オーストラリア、欧州各国、日本など)と、ITUなどの
政府間組織による管理を求める発展途上国(中国、ブラジル、南アフリカなど)
の意見が対立し、基本宣言案および行動計画案の作成作業は混迷を極めたとい
うことです。

ICANNを中心とする現行の体制に批判的な途上国側の主張の裏には、米国の一
非営利法人であるICANNがインターネットのグローバルな資源管理を行うこと
に正当性があるのかという問題や、ルートサーバー管理の最終的な権限を米国
政府が握っているという現状への不満が見られるとのことですが、会津氏から
はさらに、「これは単に途上国が不満を言っているというだけの話ではなく、
新しい社会のヘゲモニー(主導権)を誰がどうとるかという問題」との指摘が
ありました。

こうした準備プロセスを経て開催されたジュネーブ・サミットでは、結局この
インターネットガバナンス問題は先送りされた形となり、国連事務総長に対し
てワーキンググループの設置を要請する旨が基本宣言・行動計画で示されまし
た。これは、この問題を議論する上で、民間関係機関の意見を十分反映させる
プロセスがないという先進国側の懸念が考慮されたものであり、サミットとは
別の枠組みで幅広い関係者が参加した上での検討を続けていくこととなった模
様です。このワーキンググループでは、インターネットガバナンスという言葉
の定義自体についての検討を含め、2005年までにインターネットガバナンスに
関する調査、および(必要な場合には)行動提案を行うとのことです。


◆今後に向けて

2005年11月には、チュニジア・チュニスで第2回目のサミットが開催される予
定であり、その準備プロセスが2004年上期には開始されるとのことです。また、
2004年2月末にはITUがインターネットガバナンスに関するワークショップを開
催、さらに、3月末には国連のICTタスクフォースにおいても議論が行われるな
ど、ジュネーブ・サミットでの結論を受けての動きがすでに各所で進められて
いる模様です。

こうした状況を踏まえ、総務省の山田氏からは、「インターネットガバナンス
については、今まさに議論が始まったところであり、インターネットの国際的
な調整をどういう枠組みで何を課題にして行うかということについて、今一度
整理をするところから入ることになる。そういう議論の中でしかるべき提案・
主張をし、各国を説得していくという貢献が、今日本政府に求められていると
思う。みなさんにも協力をお願いしたい」とのコメントがありました。

また会津氏からは、「インターネットの特徴である自律・分散・協調型のシス
テムはユーザーにとっても重要であり、インターネットガバナンスも、プロバ
イダーとユーザー双方が関与した上での自律・分散・協調型であることが必要」
との見解が示されました。

                  ◇              ◇              ◇

インターネットガバナンスの問題は、インターネットコミュニティ全体にとっ
て非常に重要なテーマであることから、JPNICでは今後も国際的な議論の動向
をフォローし、みなさまにお伝えしていく予定です。

□報告会資料
 http://www.nic.ad.jp/ja/materials/wsis/20040129/

□WSIS公式ページ(英語)
 http://www.itu.int/wsis/


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【 2 】RIPE 47 報告
                                              JPNIC IP事業部  穂坂俊之
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2004年1月26日~30日まで、オランダ・アムステルダムにて開催された 
RIPE(*1) 47ミーティングに参加してきました。

RIPEミーティングの特徴として、アドレスポリシーに関する議論よりも、
WhoisデータベースやDNSの運用など、どちらかというとオペレーションについ
ての議論の方に時間が割かれていることを挙げることができます。

ミーティング自体に関しては、スタンドマイクの前に常時1人もしくは2人の発
言者が陣取ってコメント、質問を投げかけており、議論はされつつも淡々と議
事が進行していく、という印象を持ちました。

今回、アドレスポリシー上でアジア・太平洋(AP)地域に影響を与えそうな決
定事項、提案事項はありませんでした。以下、主要事項についてご紹介します。


◆アドレスポリシーワーキンググループ(以下、WG)での議論

RIPEでは現状、提案の提出に関して明文化された規定はなく、例えばミーティ
ングの直前に出された提案も、正式な提案として議論されます。これは柔軟で
迅速な提案を可能とする一方、参加者にその提案の内容を検討する時間を十分
に与えることができないという問題もあります。

今回、このポリシー策定プロセス自体の明文化について、WGのチェアから提案
がなされました。方向としては、他RIRのプロセスを参考にしながらも、提案
締切日等の規定は設けず柔軟性を残そうというものでした。会場からは、もっ
と明確に規定しておくべきとの意見も出て、結論はメーリングリスト(以下、
ML)での議論へ持ち越されました。

また上記に加え、「ccTLD(*2)管理組織に対する、IPv4で/24、IPv6では/32の
プロバイダ非依存アドレスの割り当てを認めてほしい」という提案が提出され
ましたが、割り当てを認める妥当性が判断できないなどの意見が出され、これ
も継続してMLで議論することとなりました。

その他、アジェンダでは現行のIPv6ポリシーの問題点について議論することと
なっており、私も楽しみにしていたのですが、時間の関係でML行きとなってし
まいました。残念ですが、次回に期待したいと思います。

またIPv6 WGでは、あるISPに対しIPv6で「/27」という広大な空間の割り振り
が行なわれたという報告がなされました。RIPE地域のIPv6割り振り数は4RIRの
中でもトップですが、改めてそのことを認識させられるものでした。


◆所感

現在APNICでは、IPv6ポリシー文書の補完を行うガイドライン文書の策定に取
り組んでいますが、JPNICもこの策定に参加しています。今回、ドラフト段階
の文書に関し、IPv6 WGのチェアとの意見交換もできました。これを今後の文
書策定に生かしていきたいと思います。

また、RIPEスタッフともIRR(*3)やLIR portal(*4)に関する情報収集、意見交
換を行うこともできました。今回の参加はミーティングでの議論内容はもちろ
んですが、それ以外の交流のところでの収穫が多かったと思います。

今後もこういった活動を通じ、グローバルなポリシー提案、情報収集が必要と
なった場合に備えて、世界のコミュニティとのネットワークの確立を図ってい
きたいと考えております。


(*1) RIPE:正式にはRIPE NCC。ヨーロッパ、中近東、北アフリカ、アジアの
           一部を受け持つ地域インターネットレジストリ(RIR)
(*2) ccTLD:Country Code Top Level Domain
(*3) IRR:Internet Routing Registry
(*4) LIR portal:自身の情報の参照や、登録作業を行なうLIR専用のポータル
                 サイト

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