カンキツにおける高品質果実生産技術「シールディング・マルチ栽培(NARO S.マルチ)」
ポイント
- NARO S.マルチはカンキツ樹に確実な乾燥ストレスを付与することで、高品質果実を生産する技術です。
- NARO S.マルチは、排水設計した園地において、専用のNARO S.シートを園内に埋設したうえで、シートマルチ栽培を行う技術です。併せて、かん水設備を導入することで、乾燥ストレスを調整します。
- 一般的な高品質果実の糖度基準とされる極早生温州11度以上、早生・普通温州12度以上を連年で生産することができます。
- これから高品質果実を安定して作りたい場合や、これまでマルチ栽培を行っても品質が上がらなかった園に推奨される技術です。
シールディング・マルチ栽培(NARO S.マルチ)の概要図
列植えでうね(山型)のある園地を基本とします。列間の通路は排水路として利用するため2%以上の勾配が必要です。NARO S.シートは地表面マルチの内側に納まるように埋設します。この条件でシートマルチ栽培を行うことにより、根域の土壌を確実に乾燥させることができます。NARO S.シートは厚さ1.5mm×幅550mm×長さ30mのポリエチレン製資材で、防水性、防根性、自立性を有しています。
10アール当たりのNARO S.マルチの導入経費の例
"z 小売価格をもとにした概算額
y 植列毎のバルブから先の配管資材とかん水チューブの概算額
x 2tタイプを3日間レンタルした場合の概算額(建機レンタル会社のホームページを参考)
w 現地実証園の工事費用を10a当たりに換算した額
v 現地実証園の工事費用を10a当たりに換算した額(バルブから先の工事に限る)
u 地表面マルチ、19mm直管パイプ、パッカー、パイプ巻き上げ機
t ミストエース20(住化農業資材,サイテキ04L-03)を2本/列で敷設した場合
s ユニラムRC(ネタフィム,30cmピッチ)を3本/列で敷設した場合
r カッコ内は地表面シートおよびその関連資材を含む"
園主が施工を行う場合、10アール当たりの導入経費は約32万円となります(地表面マルチ費を除く)。
農林水産省のコメント
消費者ニーズに対応した高品質果実の安定的な生産体系を確立することは、果樹農業において非常に重要な課題である。本技術は、改植を伴わずとも導入が可能であり、現場への早期導入・普及の可能性の高い技術であると考える。また、本技術の普及により、保水性の高い園地や水田転換等による新産地においても、高品質なかんきつ類の安定生産が可能となることから、かんきつ生産の持続的発展に貢献することが期待できる。
【生産局園芸作物課】
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