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チュニジア、シディ・ブ・サイドの名物ドーナッツ「バンバルーニ」を食べてみよう!味の感想やお店の見つけ方

チュニジア名物のスイーツを紹介します

潮風が心地よく吹き抜ける丘の上の街、シディ・ブ・サイド。真っ青な地中海と白壁の家々が織りなす景色は、まるで絵葉書のような美しさです。この街で長年人々に愛され続けている伝統的なスイーツ「バンバルーニ」との出会いは、私たちの旅に特別な彩りを添えてくれました。香ばしい揚げたての香り、カリッとした食感、そして息を呑むような絶景とともに味わった特別な時間をご紹介します。

地中海を望む白と青の街、シディ・ブ・サイド

首都チュニス(Tunis)から車で30分ほど北東に位置するシディ・ブ・サイドは、丘の上に広がる小さな街です。青と白を基調とした建物が迷路のように連なり、まるでギリシャのサントリーニ島を思わせる景観で、世界中の観光客を魅了しています。アラビア風の装飾が施された青い扉や窓枠、白壁に這う紫色のブーゲンビリアの花々、そして街のいたるところから望める紺碧の地中海。特に夕暮れ時には、オレンジ色に染まる空と白壁のコントラストが幻想的な景色を作り出します。狭い路地を歩けば、時折吹き抜ける海風が心地よく、まさにヨーロッパとアフリカの文化が交わる魅惑的な街並みを感じることができます。

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チュニジアの伝統スイーツ、バンバルーニとは

 

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バンバルーニは、チュニジア全土で愛されている伝統的なスイーツです。リング状の生地を油で揚げ、仕上げに砂糖をまぶした素朴な揚げ菓子ですが、その見た目以上に奥深い魅力を持っています。外側はカリッとした食感で、中はしっとりとふんわり。熱々のうちに食べると、砂糖の甘さと生地の香ばしさが口の中で見事なハーモニーを奏でます。シンプルな砂糖がけのクラシックなものから、チョコレートやジャムを詰めた現代的なアレンジまで、様々なバリエーションを楽しむことができます。首都チュニスの市街地でも提供する店を見かけますが、本場として知られているのがシディ・ブ・サイド。長年受け継がれてきた伝統の味と、街の景観が織りなす特別な体験を求めて、多くの人々がこの街を訪れます。

メインストリートのバンバルーニ探し

メインストリートはとにかくお店と人の量がすごい

石畳が続くメインストリートには、バンバルーニを提供する店が軒を連ねています。店先からは揚げたての香ばしい香りが漂い、通りを歩く人々の足を止めます。どの店でも、注文を受けてから揚げるスタイルを採用しており、熱々の揚げたてを味わうことができます。人気店の前には長蛇の列ができていますが、興味深いことに、その列のほとんどが観光客です。スマートフォンを片手にTripAdvisorやGoogleのレビュー数を確認しながら店を選ぶ姿が目立ちます。しかし、必ずしも列の長さが味の良さを反映しているとは限りません。地元の人々は、むしろ混雑していない店に足を運んでいるようです。そんな光景を目にして、私たちも地元の人々の選ぶ味を探してみることにしました。

ローカルなお店との出会い

メインストリートから少し外れた路地に入ると、小さなバンバルーニ屋を見つけました。店頭には観光客向けの派手な看板もなく、ただシンプルな英語とフランス語の表記があるだけです。店内からは、揚げ油の香ばしい香りと、地元の人々の会話が聞こえてきます。私たちが店に入ると、エプロン姿の若い店員さんが満面の笑顔で迎えてくれました。片言の英語と身振り手振りを交えながら、「今から揚げるから、ちょっと待ってね」と伝えてくれます。

気さくなお兄さんがチャーミングなバンバルーニ屋さん

目の前のフライヤーに生地を入れると、甘い香りが店内に広がります。カウンター越しに調理の様子を眺めていると、店員さんは時折私たちに視線を送り、温かな笑顔を見せてくれます。観光地にありがちな商業的な雰囲気はなく、まるで地元の人々の日常の一コマに溶け込んだような心地よさを感じました。

穴場スポット、365 Stepsでの特別な時間

熱々のバンバルーニを手に、次は食べる場所探しです。シディ・ブ・サイドは観光地として有名なため、メインストリートやカフェのテラス、展望台は常に人で溢れています。しかし、地元の方に教えてもらった素晴らしい穴場スポットがありました。それが「365 Steps」と呼ばれる、メインストリートと海岸を結ぶ急な階段です。

メインストリートのわき道を抜けると、急峻な階段道に繋がります

石造りの階段は、白壁の建物の間を縫うように延々と続いています。かなりの急勾配のため、多くの観光客は敬遠しがちです。私たちも最初は躊躇しましたが、階段を少し下っていくと、そこには思いがけない景色が広がっていました。段々と視界が開け、紺碧の地中海と白壁の街並みが一望できる絶景ポイントにたどり着きます。風が心地よく吹き抜け、街の喧騒も遠のいています。

この静かな階段の途中に腰掛け、いよいよバンバルーニを味わう時です。紙袋から取り出すと、まだほんのりと温かさが残っています。最初の一口で、外側のカリカリとした食感と、中のふんわりとした生地の絶妙なコントラストが口の中に広がります。砂糖の甘さが程よく、何個でも食べられそうな軽やかさです。噛むたびに、揚げたての香ばしい香りが鼻腔をくすぐります。目の前には地中海の青い水平線が広がり、背後には真っ白な街並みが連なっています。時折吹く潮風が心地よく、まさにシディ・ブ・サイドでしか味わえない特別な時間を過ごすことができました。

特別な思い出になるバンバルーニとの出会い

気が付けば、バンバルーニはあっという間になくなっていました。最後の一欠片まで、その味わいを大切にしながら食べ終えると、不思議と満たされた気持ちになります。それは単に美味しいお菓子を食べた満足感だけではありません。観光客で賑わう街の中で見つけた静かな場所で、地元の人々に愛されるスイーツを味わう。その体験自体が、旅の醍醐味だったのです。

シディ・ブ・サイドを訪れる際は、TripAdvisorの評価や観光ガイドの推薦に頼るだけでなく、ぜひ自分だけのお気に入りのバンバルーニ屋さんを見つける冒険をしてみてください。地元の人々の笑顔、路地裏での思いがけない出会い、そして絶景ポイントでの特別な時間。こうした体験の一つ一つが、バンバルーニの味とともに、かけがえのない思い出として心に刻まれるはずです。