石段街の中段。観光の中核機能を持つ複合施設が開業を控える

 伊香保温泉(群馬県渋川市)が大きく変わりつつある。かつて需要を支えた団体客から個人客への転換だけでなく、コロナ禍の経験もあり旅行形態は多様化。多くの旅館・ホテルが政府の補助金を活用するなどして積極的な投資を展開する。インバウンド(訪日客)の取り込みにも本腰を入れ、湯の街の模索が続く。

 伊香保温泉の年間宿泊者数は1991年の173万人をピークに減少局面に入った。2009年以降は100万人台で推移してきたが、コロナ禍で大きな打撃を受けた。ただ、24年は前年の89万3千人を上回る見込みで、回復基調は続いている。

書き入れ時 夏場に

 月別の宿泊者数を見ると、ハイシーズンは2000年代後半を境に、企業などの忘年会需要が支えていた12月から一転、家族らが多くなる夏休み期間の8月に移った。団体客を受け入れる大型の宿泊施設は今も健在だが、夏場が一番の書き入れ時となった。「忘年会に期待している旅館・ホテルは、もうないと思う」。ある関係者は指摘する。

 そうした伊香保で...