施設利用者への身体的虐待や介護放棄があったとして、群馬県高崎市は4日、介護保険法に基づき、グリーンライフ東日本(東京都中央区)が運営する介護付有料老人ホーム「スマイリングホームメディス高崎」(同市石原町)の指定の一部効力を停止すると発表した。9日から1年間、新規利用者の受け入れができなくなる。

 市によると、4~6月に複数の職員が複数回、90代男性が乗った車椅子を机などで挟んで動かせないように行動を制限したほか、2019年4月以降の5年間、実施資格のない複数の職員が60~90代の男女5人に胃ろうによる経管栄養や経鼻経管栄養を実施。70代男性に対して入浴や着替えを行わないなど必要な介護をせず、居室に排せつ物が残った容器や汚れたシーツを放置するなど著しく不衛生な環境に置いて生活環境を悪化させた。

 市は6~8月に計5回監査を実施。組織性や継続性を重く見て、一部効力停止の中で最も期間が長い1年の行政処分とした。

 一方、県は4日、研修や医師の指示が必要な「特定行為」を基準に違反して行ったなどとして、社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、同事業所に特定行為業務を同日から3カ月間停止する行政処分を出した。県地域福祉課によると、19年4月以降の5年間に実施資格のない職員5人が、胃ろうによる経管栄養や経鼻経管栄養で、チューブに栄養剤を取り付ける特定行為を180回行ったという。医師の文書による指示や計画書などの書類も不十分だった。

 同社はホームページに「全職員に対して今回の事案を含めた教育研修のこれまで以上の徹底、法令・企業倫理を遵守(じゅんしゅ)し安全管理の徹底に向けた取り組みをさらに強化し、再発防止に向けて全力で取り組む」とのコメントを掲載した。