就活で3人に1人がセクハラを経験 もう終わりだよこの国

大阪にある日本ハラスメント協会では、自治体や企業で働く人の他、就職活動中の学生からの相談にも応じています。

学生からのセクハラに関する相談は、売り手市場だった去年も40件あったと言います。

厚生労働省の調査では、2020年度からの3年間に大学などを卒業した人のうち、およそ3人に1人が、インターンシップ以外の就職活動中にセクハラを受けたと答えています。

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【就活セクハラ】およそ3人に1人が経験、男性も訴え…国が対策強化へ - サタデーウオッチ9 - NHK

 

今回は、日本におけるセクハラについてまとめます。

日本のセクハラ問題について

近年、日本社会においてセクハラは職場、学校、公共の場など、様々な場面で発生しています。

1. 日本のセクハラに関する法律や規制

日本では、セクハラを防止するための法律や規制が整備されています。

主なものとしては、以下のものがあります。

①男女雇用機会均等法

職場におけるセクハラ防止のために、事業主に対して、相談窓口の設置、従業員への啓


発活動、セクハラ発生時の適切な対応などを義務付けています。男女雇用機会均等法において、職場におけるセクハラ行為そのものを禁止する規定はありません。   
②刑法

強制わいせつ罪や強制性交等罪など、セクハラに該当する行為を犯罪として規定しています。   
③人事院規則

公務員に対するセクハラを防止するための規定を設けています。   
④各自治体の条例

各地方自治体において、セクハラ防止に関する条例を制定している場合があります。

2020年6月には、パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行され、企業にはパワハラだけでなく、セクハラを含むあらゆるハラスメントの防止対策が義務付けられました。

これにより、企業は、職場におけるハラスメントの防止のために、以下の措置を講じることが義務付けられています。   

  • 職場におけるハラスメントに関する方針の明確化および周知・啓発
  • 相談窓口の設置
  • ハラスメントの相談を受けた場合の迅速かつ適切な対応
  • 相談者・行為者へのプライバシー保護
  • 不利益取扱いの禁止

2. さまざまな状況におけるセクハラの定義と例

セクハラは、職場、学校、公共の場など、様々な状況で発生する可能性があります。

状況別に、セクハラの定義と具体的な例を以下の表にまとめました。

【職場】

  • 上司が部下に対して、性的な冗談を言ったり、身体に触ったりすること。
  • 同僚が、他の従業員に関する性的な噂を広めること。
  • 顧客が、従業員に対して性的な発言や行動をすること。

【学校】

  • 教師が生徒に対して、性的な質問をしたり、不適切な身体接触をしたりすること。
  • 生徒が他の生徒に対して、性的な噂を広めたり、わいせつな画像を送信したりすること。
  • 生徒同士で、性的な冗談を言い合ったり、性的な行為を強要したりすること。

【公共の場】

  • 電車内で、痴漢行為や盗撮を行うこと。
  • 路上で、見知らぬ人に性的な言葉をかけたり、身体に触ったりすること。
  • 店内で、店員に対して性的な発言や行動をすること。  

2.1 職場におけるセクハラ

職場におけるセクハラとは、男女雇用機会均等法において、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、性的な言動に対する拒否や抵抗を理由に、労働条件の不利益を被ること又は性的な言動により就業環境が害されること」と定義されています。 職場におけるセクハラには、「対価型」と「環境型」の2種類があります。   

対価型セクハラ: 性的な言動に対する拒否や抵抗を理由に、セクハラを受けた労働者が労働条件の不利益を被ること。
環境型セクハラ: 性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどその労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること。
具体例として、上司が部下に対して、昇進や昇給と引き換えに性的な関係を要求することなどが挙げられます。

職場におけるセクハラは、被害者の就業意欲や能力の発揮に悪影響を及ぼすだけでなく、企業の評判や業績にも影響を与える可能性があります。

また、セクハラを受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害を受けた労働者が男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準として判断することが適当です。

つまり、セクハラか否かの判断は、相手の主観的な感情だけでなく、社会通念や客観的な状況も考慮する必要があるということです。   

2.2 学校におけるセクハラ

学校におけるセクハラは、スクールセクハラとも呼ばれ、教職員と児童生徒間、あるいは児童生徒間で発生する性的な言動による嫌がらせを指します。

京都府立学校のセクハラ防止要綱では、学校における性的な言動だけでなく、教職員が児童生徒を不快にさせる学校外における性的な言動もセクハラに当たるとされています。

スクールセクハラでは、教職員が成績評価や指導を行う立場、児童生徒はされる立場にあるため、児童生徒等が不快に感じていても意思表示ができない場合や児童生徒の発達の段階によってはセクハラの被害を自分では判断できない場合があります。

また、教職員から教科指導や部活動指導などを受ける中で、児童生徒は様々な目には見えない「圧力」を感じていると考えるべきでしょう。   

これらの点を踏まえ、教職員は相手の意思表示の有無にかかわらず「不快にさせる性的な言動」を行わないよう、常に相手の立場になった言動が求められます。

また、教職員になかなか相談できない児童生徒がいることに配慮し、学校以外の相談機関や電話相談の電話番号を児童生徒に伝えておくことも重要です。

2.3 公共の場におけるセクハラ

公共の場におけるセクハラとは、電車内、路上、商業施設など、不特定多数の人が利用する場所で発生する性的な言動による嫌がらせを指します。

公共の場におけるセクハラは、被害者に不安や恐怖感を与えるだけでなく、社会全体の安全を脅かす可能性があります。

 

セクハラを相談できる窓口

セクハラに関する相談ができる主な窓口は以下の通りです。

社内相談窓口: 企業に設置されている相談窓口


労働局雇用環境・均等部(室): 職場におけるセクハラに関する相談窓口
総合労働相談コーナー: 労働問題全般に関する相談窓口
ハラスメント悩み相談室: 厚生労働省が設置している相談窓口
法務省の人権相談窓口: 人権侵害に関する相談窓口
警察: 犯罪行為に該当するセクハラに関する相談窓口
弁護士: 法的なアドバイスやサポートを受けられる
こころの耳: 働く方やご家族の方向けにメンタルヘルスに関する相談窓口や医療機関を紹介するポータルサイト

セクハラに関する最近の社会動向

近年、セクハラに関する社会動向として、以下の点が挙げられます。

#MeToo運動の広がり

セクハラ被害の告発がソーシャルメディアを通じて広がり、社会問題として注目されるようになりました。

#MeToo運動は、セクハラ問題に対する社会的な関心を高め、被害者が声を上げやすい環境を作る上で大きな役割を果たしました。

パワハラ防止法の施行

2020年6月にパワハラ防止法が施行され、企業にはパワハラだけでなく、セクハラを含むあらゆるハラスメントの防止対策が義務付けられました

まとめ

被害者を保護し、セクハラのない社会を実現するためには、法律や規制の整備だけでなく、一人ひとりの意識改革、そして社会全体での取り組みが不可欠です。

特に、日本では、伝統的な性別役割分担意識や、上下関係を重視する文化などが、セクハラ問題の根底にあると考えられます。

セクハラ被害に遭った場合は、一人で抱え込まず、信頼できる人に相談したり、相談窓口に連絡することが大切です。

また、証拠を残すために、セクハラの内容や日時などを記録しておきましょう。