【なんで?】教員試験倍率が小中高で過去最低 もう終わりだよこの国

学校

文部科学省のまとめによると、今年度採用された全国の公立学校の教員の採用倍率は3.2倍で、3年連続で過去最低になったことが明らかになりました。

採用倍率は、2000年度には過去最高の13.3倍でしたが、その後は低下が続いています。

digital.asahi.com

www3.nhk.or.jp

教員のなり手不足の原因

教員の長時間労働は、以前から社会問題として取り上げられてきました。

これには複数の理由があります

原因1. 教員の労働環境:長時間労働と精神的ストレス

文部科学省の調査によると 、小学校教諭の平日の平均在校等時間は11時間33分、中学校教諭では11時間47分にも及んでいます。

正規の勤務時間である38時間45分を大幅に超える長時間労働は、教員の心身に大きな負担を強いていることは明らかです。

文部科学省の最新調査 では、校長は10時間48分、副校長・教頭は10時間58分と、これらの職種すべてで前回調査から改善がみられたものの、依然として長時間労働であることが分かります。  

参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構

1日あたりの勤務時間数は減少するも、平均在校時間は依然として10時間以上(教員の勤務実態:ビジネス・レーバー・トレンド 2023年8・9月号)|労働政策研究・研修機構(JILPT)

参考:文部科学省 教員勤務実態調査(令和4年度)【確定値】(概要)

この長時間労働の要因として、授業準備や教材作成、成績処理といった業務に加え、部活動指導や保護者対応、学校行事の準備など、多岐にわたる業務が挙げられます。

特に、近年増加傾向にある保護者からの個別対応や、複雑化する学校事務は、教員の精神的なストレスを増大させています 。

また、教職員の大量退職、大量採用による教職員年齢層の変化も、長時間労働に拍車をかけている可能性があります 。   

さらに、教員の待遇面にも課題が残ります。

給特法と呼ばれる法律により、教員には残業代が支給されず、給与水準も他の専門職と比べて低い現状があります 。

昇進の機会も限られており、教員のモチベーション低下や離職につながる可能性も懸念されます 。

特に、部活動のように、勤務時間外に多くの時間を費やす活動に対して、現状では十分な評価や補償がなされていない点は、改善が必要と言えます。   

原因2. 教職課程の現状:教員養成の課題と質の向上

教員を養成する教職課程にも、いくつかの問題点が指摘されています。

教員養成課程における学生の質の低下や、教員免許取得の難化は、教員不足に拍車をかける要因となっています。

教員免許を取得するための試験は難関であり、特に高校の体育など、一部の教科では競争率が非常に高くなっています。

また、教員免許取得後の研修制度も、以前の教員免許更新制は廃止されましたが 、新たに、教師の個別最適な学びを支援するための研修制度が導入されています。

しかし、依然として教員の資質向上のための研修機会は限られており、教員としての成長を阻害する可能性も考えられます。

さらに、教員のキャリアパスにも課題があります。

管理職への昇進は狭き門であり、多様なキャリアパスが用意されているとは言えません 。教員としての専門性を高め、キャリアアップしていくための道筋が明確でないことも、教職の魅力を低下させている一因と言えるでしょう。

特に、管理職不足の解消に向けて、若手教員へのキャリアガイダンスやメンター制度の導入など、将来のリーダー育成を視野に入れた取り組みが重要です。

原因


3. 社会的な要因:少子化と教職イメージの低下

少子化は、教員需要の減少に直結する要因ですが、児童生徒数が減少する一方で、教員の仕事量は必ずしも減っているわけではありません。

むしろ、多様化する教育ニーズや、特別支援教育の充実などにより、教員の負担は増加傾向にあります。

また、教職に対する社会的なイメージの低下も深刻です。

長時間労働や精神的なストレス、保護者対応の難しさなどが報道されることで、「ブラック職場」というイメージが定着し、教職を志望する若者が減少している現状があります 。   

参考:FNNプライムオンライン「教職をブラックと呼ばないで」現役教師やOB/OGが語る学校のリアル

www.fnn.jp

 

教員不足がもたらす悪影響

教員不足は、教育現場に様々な悪影響を及ぼします。

教員一人当たりの負担が増加することで、授業準備や生徒指導がおろそかになり、教育の質の低下につながる可能性があります。

また、学級崩壊や不登校、いじめなどの問題が増加する恐れもあります 。   

実際に、横浜市では0.13%、神奈川県では0.52%、全国では0.26%の小学校で教員不足が発生しており 、その影響は無視できません。   

さらに、教員不足は、教員の精神的なストレスを増大させ、離職率を高めることにもつながります。

ベテラン教員の減少は、学校全体の教育力低下を招き、子どもたちの成長に悪影響を与える可能性も懸念されます。

教員確保に向けた取り組み

文部科学省は、教職の魅力向上、働き方改革の推進、教員養成の質的向上、免許状更新講習の改善など、様々な政策を推進しています 。 また、財政的な支援や、仕事と生活の調和(ワークライフバランス)を改善するための取り組みも進められています。   

しかし、これらの対策の効果は限定的であり、教員不足は依然として深刻な状況です。教員の待遇改善や、教職の魅力向上に向けた抜本的な対策が求められています。

参考:文部科学省「教師不足」に関する実態調査

Â