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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」、カラオケ指標100位以内エントリーを注目する理由

最新12月11日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、前週まで3週連続で首位を獲得していたロゼ(ROSÉ) & ブルーノ・マーズ「APT.」が2位に後退。しかしながらこの曲のカラオケ指標急上昇について、興味深く感じています。

 

続く2位は、先週まで3週連続で首位を獲得していたロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」。前週をピークに、ストリーミングは95%、ダウンロードは79%、動画85%と減少しているものの、今週もストリーミングと動画では首位という強さを見せている。

ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」はポイント前週比90.2%を記録。ポイントの減少は、11月22日に日本で開催された韓国の音楽賞MAMA AWARDSにてロゼとブルーノ・マーズが登場し(事前収録ながら)パフォーマンスが公開されたことによる盛り上がりの反動とみられます。それでも「APT.」はストリーミング1千万回を大きく上回る1158万回再生を記録し、加えてカラオケ指標が大きく上昇しています。

上記ポストのリンク先はストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートの記事。このチャートの記事では上位曲のCHART insightが貼付されることが多く、ストリーミング以外の指標において有料会員のみがチェック可能な100位までの順位が判明しています。「APT.」のカラオケ指標67位という成績はここから確認できるのです。

 

K-POPを含む洋楽で日本語を含まない曲は、カラオケ指標が300位以内に入り加点されることはほぼありません。その中にあって、韓国語と英語で歌われる「APT.」(歌詞はこちら)が前週カラオケ指標300以内に初登場するやいなや当週100位以内に上昇しています。洋楽のカラオケ指標100位以内登場にはBTS「Dynamite」が挙げられることから(下記参照)、「APT.」も社会的ヒットと断言して差し支えないでしょう。

さらに、日本のレコード会社側は昨日このようなポストを発信。特にDAMにおいてはカラオケの配信が遅かったのですが、その後の反応の良さを踏まえたであろう発信は巧いと感じています。

 

さて、カラオケは日本のアイドルやダンスボーカルグループが幅広い世代から人気を獲得するために重要な指標だと捉えています。

上記リンク先ではビルボードジャパンの2024年度年間トップアーティストチャート(ソングチャートとアルバムを合算したチャート)の上位20組、また21~50位に入ったアイドルやダンスボーカルグループのCHART insightを掲載していますが、このジャンルの歌手の大半は累計ポイントに占めるカラオケ指標が極めて低い状況です。20位以内ではNumber_i、NewJeans、LE SSERAFIMおよびSEVENTEENが未加点となっています。

50位までに範囲を拡げると、アイドルやダンスボーカルグループにおけるDa-iCEのカラオケ指標が突出しています。「CITRUS」「スターマイン」そして「I wonder」という社会的ヒットやSNS人気曲の相次ぐ輩出が歌手の認知度を高めたことで、彼らは音楽番組に欠かせない存在に成ったと想起可能です。今夏の地上波長時間音楽特番では最多出演を果たし、年末においては現時点にて2番目に多く出演します(下記参照)。

 

カラオケでは難易度が高くとも挑戦しがいがある(オーディションの課題になる)曲も人気であり、またキャッチーな作品の存在も欠かせません。ロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」のカラオケ指標上昇は、SNS人気やキャッチーさが言語の壁を越えることを証明しているといえるでしょう。日本の歌手、特にアイドルやダンスボーカルグループにおいては、幅広い世代にリーチし言語の壁も超越し得る曲が必要かもしれません。