Ubuntu 22.04にBitdefender GravityZoneを導入した

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はじめに断っておこう。コンピュータの素人には全くおすすめしない。Linuxのコマンドラインで縦横無尽に情報収集出来る「漢」だけがっ! コンピュータの、特にLinuxの知識を有している者だけがっっ!! そして。英語に怖気づく事無き「勇者」だけがぁっっっ!!! Linuxデスクトップ上でBitdefenderを使う資格を有すると覚悟せよ。

世の中には得てして知らない方が良い知識だってあるものだ。が、このパラグラフへと読み進めた貴方には「覚悟」と「自覚」があるようだ。よろしい。貴方にはこの記事を読み進める資格がある。

Bitdefender GravityZone、一体何者??? それはいわゆるアンチウイルスソフトである。オンボロWindozeでは「常識」のね。

"Bitdefender"(ビット防御者)はわかる。アンチウイルスソフトらしいぢゃないか。が、"GravityZone"。直訳しようか?「重力領域」だ。何かを吸い込んでしまう、重力のそういった性質を持つ「領域」。

これはBitdefenderというルーマニアの企業がグローバルに提供するアンチウイルスソフトのクラウドサービスを意味している。(オンプレで自分でホストするためのVMも選べるらしいが。)今回これを私のDell G15 5515 Ryzen Edition/Ubuntu 22.04に導入したのである。

アンチウイルスソフト導入の動機

かつては。Linuxにアンチウイルスソフトは不要であると言うのが共通認識であった。サーバに適切なセキュリティ設定とタイムリーな脆弱性対応を実施していれば、サーバが陥落することはまず無い。そして、Linuxデスクトップなぞめったに見かけるものではなかった。

Why You Don't Need an Antivirus On Linux (Usually)
https://www.howtogeek.com/135392/htg-explains-why-you-dont-need-an-antivirus-on-linux-and-when-you-do

これは2017年の記事だ。その当時は確かにそうであったろう。

しかし。今となっては。既に時代が違うのであるよ。

The number of Linux malware threats rises by 50%
https://cloud7.news/security/the-number-of-linux-malware-threats-rises-by-50/

2017年頃には増加傾向が始まり、その後指数関数的にLinux向けマルウエアが増大している。マルチプラットフォームを狙うウイルスなどの記事も見たことがある。Linuxデスクトップの利用も漸増ではあるが増加傾向だ。Linuxデスクトップも既に極悪なる攻撃者どものターゲットに入っていると見て良い。

その証拠に。オープンソースのツールにマルウエアを紛れ込ませて思慮の足りないあるいは誤認した開発者に誤ってマルウエア版をインストールさせてしまうよう誘引するという攻撃が、今流行りのnodeのモジュールなどで毎日起こっているとか。新しいモジュールをインストールしたらマルウエアでした、なんて事が起こりうる。

私は、未だリリースには至らないが、「持ちネタ」のソフトウエア開発を長期間続けてきたし、今後も続ける。サーバサイド開発もクライアントサイド開発も自由自在で使い勝手が良く便利なこのLinuxデスクトップを守り抜かなければならない。

しかして。Linux向けのアンチウイルスソフトの導入検討を始めた次第である。

アンチウイルスソフトの選択−その壱

Linux用のアンチウイルスソフトの選択肢は極めて少ない。が、無くはない。

まずはUbuntu 22.04用のものを見てみる。

Top 5 Antivirus Apps For Ubuntu 22.04 and 20.04
https://www.ubuntufree.com/top-5-antivirus-apps-for-ubuntu-14-04-and-14-10/

Comodo Antivirus for Linux

トップに出てくるのはComodo Antivirus for Linuxだ。無料版と有料版がある。Linux用の無料版は以下からダウンロード出来る。

Comodo's Best Antivirus for Linux 2022
https://www.comodo.com/home/internet-security/antivirus-for-linux.php

おそらく無料版のユーザーが多いのであろう。プログラマを確保できないのか、製品の品質に対する疑義もあり、評判はあまり良くない。

Comodo Antivirus Review
https://cybernews.com/best-antivirus-software/comodo-antivirus-review/

ClamAV

次のClamAV。これも無料アンチウイルスソフトである。ClamAVは標準のシグネチャデータベースは「スカスカ」とのもっぱらの評判だ。

ClamAVの検知率を上げる
https://intaa.net/freebsd/memo/clamav-unofficial-sigs

ウイルスパターンのデータベースのメンテナンス等は、プログラマがやりたがらない仕事なわけで。こういった部分は人を雇ってやらせる必要があるので、アンチウイルスソフトを無料で済ますのは良い考えではない。「スカスカ」なアンチウイルスソフトなぞ、無いほうがマシなのだ。

ESET

その次。ESET NOD32 Antivirus for Linux。これは良いね。見ただけだと。お値段も安めだったはず。

が、Download ESET NOD32 Antivirus for Linux Desktopの下の方の注記を見てほしい。2022年8月3日にサポートが切れていて無保証状態。使うのは勝手だが、サポート無し。同ページより"ESET Endpoint Antivirus for Linux"へと案内されるリンクもあるが、ESET ESET Endpoint Antivirus for Linuxによればこれも既に廃盤。もう一つの候補ESET PROTECT Entryであるが、値段が不明。見積もりをとっても企業向けだろうからふっかけられるに決まっている。

ESETについては、カイシャでESET Server Security for Linuxという製品を使っている。これはキャノン販売のサイトに価格がある。1本2万2千円。高すぎだろう。ESETも「無し」だ。

Kaspersky Endpoint Security for Linux

四番目の候補はKaspersky Endpoint Security for Linux。これは基本的に企業向け製品であり、お値段が高い。

Kaspersky Endpoint Security Suite: Editions Structure, Pricing and Features
https://www.cynet.com/endpoint-security/kaspersky-endpoint-security-suite-editions-structure-pricing-and-features/

10台以上、最低年間500ドルとか、高すぎ。論外。しかもKasperskyはロシア企業。ちょっとねぇ。

探してみると1ユーザー1年というのもある。

Kaspersky Endpoint Security Linux 1-Year 1-User
https://laptopwithlinux.com/product/kaspersky-endpoint-security-linux/

何事?と思って見てみると、これはその業者が出荷するラップトップに付属させる時の値段らしく、そのラップトップ業者が「小分け」して販売しているのであろう。普通の人には利用できない。

F-Prot

最後はF-Prot。これはFRISK Software Internationalというアイスランドの会社が作っていたもので、もう20年以上の歴史があるそうだ。

古いから良いのか?必ずしもそうとは限らないが、記事のリンクをたどってもF-Protは手に入らない。FRISKはCYRENという会社に衣替えしてしまっているようで、F-Protは現状存在しないのではあるまいか。

アレヤコレヤとやっていて見つけたのは、以下のフリーダウンロードだ。

F-Prot Antivirus for Linux Workstation (64-bit) for Linux
https://download.cnet.com/F-Prot-Antivirus-for-Linux-Workstation-64-bit/3000-2239_4-75684086.html

手にははいったが。。。先程にも述べたが、フリーのアンチウイルスソフトは品質を期待できない。これを使おうとは思わない。

アンチウイルスソフトの選択−その弐

まだまだだっ!!調査を続けた。

5 Best Antiviruses for Linux in 2023 (Home + Business Options)
https://www.safetydetectives.com/best-antivirus/linux/

Bitdefender Endpoint Security Tools (GraityZone)

まずBitdefender Endpoint Security Tools。GravityZoneはそのWEBベースのコントロールセンター(管理画面)だ。中小企業向けのクラウドサービスだね。Bitdefenderはルーマニアのセキュリティ企業。

この記事だけではあまり内容を把握できないが、以下の記事を読むと良い。

Bitdefender for Linux
https://bestantivirus.com/best-for-linux/bitdefender.html

これをすべて実際に実現出来るかどうかはわからないが、on-accessとon-demandスキャンができればとりあえず使える。他のアンチウイルスソフトでは検出できないものも検出できたりする事があるなどのアドバンテージもある。

肝心のお値段は。実に明朗会計だっ!!

GravityZone Business Security
https://www.bitdefender.com/business/smb-products/business-security.html

3台から。78ドル/年。ここには書いてないが、付加価値税15%ちょっとが加算される。1/3はサーバライセンスにできるそうで、Linuxは必ずサーバライセンス。なので、Linux一台、Mac一台、Windows一台をこれでカバーできる。この製品はモバイル対応していないが、Bitdefenderの製品でモバイル対応のものもあるらしいよ。知らんけど。(大阪人風に)

Bitdefenderはルーマニアの会社で、グローバルに商売しているね。GravityZoneのコントロールセンターはログイン時に日本語を選ぶことが出来るが、翻訳漏れで英語が一部残っていたりする。

GravityZone Business Securityは30日間の試用が可能である。

FREE trial of GravityZone Business Security
https://www.bitdefender.com/business/products/free-trials/business-security-free-trial.html

さて、このBitdefender。過去にWEBサイトよりSQLインジェクションによる情報漏えいのヘマを一度やらかしている。

AV firm BitDefender Hacked; Did Not Encrypt Customer Passwords
https://blog.knowbe4.com/av-firm-bitdefender-hacked-did-not-encrypt-customer-passwords

セキュリティ企業にあるまじきヘマであるが・・・まぁ、もうきちんとやっている事であろうさね。。。

よし。Bitdefenderは第一候補だ。

Kaspersky Endpoint Security for Linux

次にKaspersky Endpoint Security for Linux。機能的にはBitdefenderと同じようなもの。法人向けで先ほどにも出てきたね。お値段が高すぎるのと、ロシア企業という事で却下。

Sophos Anti-Virus for Linux

Sophos Anti-Virus for Linuxなんだけど、調べてもお値段でてこないッスよ。しかも、Retirement calendar for Sophos Endpoint & Server products, Management Consoles and PureMessageを見ると、Sophos Anti-Virusは2023/7/20にEOLを迎えるようだ。これは却下だねぇ。

Trellix Endpoint Security

もともとMcAfee Endpoint Securityという名前だったそうで、McAfee Endpoint Security 10.7.0 - 脅威対策 製品ガイド - Linuxに日本語の説明があるが、最終更新日は2018年3月23日。

値段も書いてないし、法人向けだろうし。お値段も張るだろうし。これは選択肢にはならない。

ClamAV

無料のアンチウイルスソフト。これも先程出てきていて、却下済み。

Bitdefender GravityZone Business Securityをフリートライアル

そういう次第で。Bitdefender GravityZone Business Securityを試用してみることにした。フリートライアルは以下のページより申し込むことが出来る。Bitdefenderはオンプレミス用のコントロールセンターのVMをダウンロードして自分でホストして使うこともできるが、お手軽なのはクラウド版だ。以下のフリートライアルもクラウド版へと誘導される。

FREE trial of GravityZone Business Security
https://www.bitdefender.com/business/products/free-trials/business-security-free-trial.html

必要な情報を入力して"Get Your free Trial"ボタンをクリックするとメールが2通届く。あとから届く方にURLが貼ってあるからリンク先でパスワード設定をしてGravityZoneコントロールセンターへログインする。すると最初に「重要なステップ」というダイアログが表示される。

「今すぐこのコンピュータにインストールする」をクリックすると、Linux用のエージェントインストールパッケージ"installer.tar"がダウンロードされる。インストール方法は次のクイック・スタート・ガイドが役に立つ。システム要件も書いてあるのでよく読んでおこう。

Bitdefender Endpoint Security Tools for Linux quick start guide
https://www.bitdefender.com/business/support/en/77209-157515-bitdefender-endpoint-security-tools-for-linux-quick-start-guide.html

上記クイック・スタート・ガイドではダウンロードしたパッケージがsetup_downloader.tarとなっているが、これを我々のinstaller.tarに読み替えて実施する。もちろんrootユーザーになって。ターミナルを開いてその中で。

# tar xvf installer.tar
# chmod +x installer
# ./installer

インストールのログは/opt/bitdefender-security-tools/var/log/installer.logに出力される。ざっと見て問題がないかを確認しておこう。

Bitdefender Endpoint Security Tools for LinuxにはWindowsやMacのようなキュートな画面は用意されていない。だから言っただろう。そこはハードボイルドな「漢」の世界。エージェントの操作はすべてコマンドベースだっ!!

Bitdefenderのエージェントがインストールされたかどうかは以下のコマンドで確認できる。(rootではなく一般ユーザで可能)

$ bd status

いくつかのサービスがあるが、すべて"active"となっていればOK。

停止・起動・再起動はそれぞれ以下の通り。

$ sudo bd stop

$ sudo bd start

$ sudo bd restart

これらは実行時に権限昇格のダイアログが表示されるのでご自分のパスワードを入力して実行する。

Bitdefenderを停止することはあるのか?あるんだな。私は日々の増分バックアップを自作rsyncスクリプトで取得しているが、このときにBitdefenderが有効であると古いバックアップの削除処理にてフリーズしてしまうことがある。なので、バックアップ開始時にBitdefenderをオフに、バックアップ完了後にBitdefenderをオンにするようにスクリプトを組んである。

前記クイック・スタート・ガイドに記載のある"Deploying EDR using Linux AuditD"は全く無視してよい。Bitdefenderエージェントはroot権限で稼働しており、またUbuntu22.04ではrootユーザは常にeBPFが使用可能である。この項を実行する条件には合致しない。

Bitdefenderエージェントの製品情報を取得する。

$ cd /opt/bitdefender-security-tools/bin
$ sudo ./bduitool get ps

Product version: 7.0.3.2115
Last product update: 2023-02-04 at 16:03:55 GMT+9
New product update available: no
Engines version: 7.93979
Last security content update: 2023-02-04 at 16:31:48 GMT+9
New security content available: no
Installed scan type: Light
Installed scan type fallback: None
Currently used scan type: Light
Features:
  - Antimalware status: On
  - Relay status: Installed
  - Patch Management Server status: Installed
  - NetworkMonitor status: Off

$ 

標準インストールではおそらくAntimalware statusのみがOnとなっているハズ。まぁ、こちらは後ほど調整するから。

さて。Bitdefenderの仕事状況を把握するためにGravityZoneコントロールセンターへログインしよう。URLはhttps://gravityzone.bitdefender.com/だ。

スマホを用いた2要素認証の設定を促されるが、何回かは無視して先へ進めることが出来る。でも最後は2要素認証設定をしないとログインできなくなる。私はAndroidデバイスを使っているので、Google Authenticatorを使用している。

ログイン後の画面。サーバ側のタイムゾーンがデフォルトでGMT+2なので、当分時刻を+7時間して読み替える必要がある。これは設定によってJST(GMT+9)へ変更することが可能である。まぁ、後ほど。

Bitdefender TrafficLightも入れておく

Linux版のBitdefenderはフィッシングなどの防御でちょっと心もとないので、Bitdefender TrafficLightという機能拡張をFirefoxへ入れた。

Bitdefender TrafficLight
https://www.bitdefender.com/solutions/trafficlight.html

Bitdefender TrafficLight for Firefox by Bitdefender
https://addons.mozilla.org/en-US/firefox/addon/trafficlight/

TrafficLight導入直前のFirefox。

TrafficLight導入直後のFirefox。

インストール前後でボタンが"Add to Firefox"から"Remove"へ変わっているね。

Chrome用のTrafficLight拡張機能もあるようだね。その気になればEdgeとChromeにインストールできそうだけど、しばらくは様子見かな。

テストファイルによる検査

インストールしっぱなしで放置はあるまい。世の中にはアンチウイルスソフトの稼働を確認するためのテストファイル(EICARテストファイル)というものがある。

Anti Malware Testfile
https://www.eicar.org/download-anti-malware-testfile/

テストファイルはDOSのバイナリプログラムで、そのバイトス列はすべてASCIIコードとなっている。

X5O!P%@AP[4\PZX54(P^)7CC)7}$EICAR-STANDARD-ANTIVIRUS-TEST-FILE!$H+H*

ファイルの先頭から正確にこの68バイトが存在する必要がある。viエディタなどで作成して保存すると、いきなり削除されるのでcatコマンドで内容を見ようとしても「そのようなファイルやディレクトリはありません」となる。

まぁ、それだけでもBitdefenderが「機能」している確認にはなるが、EICARテストファイルをローカルファイルシステムへ作成したければ、一度Bitdefenderをオフとして作成して保存し、その後にBitdefenderをオンとする。するとEICARテストファイルがファイルシステム上に「残留」する。

user@enlil:/tmp/w$ sudo bd stop
[sudo] user のパスワード: 
user@enlil:/tmp/w$ 
user@enlil:/tmp/w$ vi eicar.txt
X5O!P%@AP[4\PZX54(P^)7CC)7}$EICAR-STANDARD-ANTIVIRUS-TEST-FILE!$H+H*
user@enlil:/tmp/w$ 
user@enlil:/tmp/w$ tr -d '\n' < eicar.txt  > eicar.com
user@enlil:/tmp/w$ od -c eicar.com
0000000   X   5   O   !   P   %   @   A   P   [   4   \   P   Z   X   5
0000020   4   (   P   ^   )   7   C   C   )   7   }   $   E   I   C   A
0000040   R   -   S   T   A   N   D   A   R   D   -   A   N   T   I   V
0000060   I   R   U   S   -   T   E   S   T   -   F   I   L   E   !   $
0000100   H   +   H   *
0000104
user@enlil:/tmp/w$ 
user@enlil:/tmp/w$ ll
合計 16
drwxrwxr-x  2 user user 4096  2月 11 14:15 ./
drwxrwxrwt 27 root    root    4096  2月 11 14:12 ../
-rw-rw-r--  1 user user   68  2月 11 14:15 eicar.com
-rw-rw-r--  1 user user   69  2月 11 14:13 eicar.txt
user@enlil:/tmp/w$ 
user@enlil:/tmp/w$ sudo bd start
user@enlil:/tmp/w$ bd status

コマンドの概要を話そう。まずBitdefenderをオフとする。viで編集したeicar.txtはLFを含めて69バイト。trコマンドでLFを削除して正確に68バイトとした"eicar.com"ファイルも作成した。その後に再度Bitdefenderをオンとしている。

アンチウイルスソフトはこのテストファイルを必ずEICARテストファイルとして「ウイルス検知」する。が、オフの時に作成したものに関しては「我関せず」だ。そう。ウイルスが「潜伏」している状態を作り出したのだ。

このEICARテストファイルが削除されるには、ファイルI/Oが生じなければならない。Bitdefenderがそこに割り込んで「ウイルス」を削除する。ファイルI/Oを生じさせたければ、ファイルの内容を表示すれば良い。

user@enlil:/tmp/w$ ll
合計 16
drwxrwxr-x  2 user user 4096  2月 11 14:15 ./
drwxrwxrwt 27 root    root    4096  2月 11 14:17 ../
-rw-rw-r--  1 user user   68  2月 11 14:15 eicar.com
-rw-rw-r--  1 user user   69  2月 11 14:13 eicar.txt
user@enlil:/tmp/w$ cat eicar.com
cat: eicar.com: 許可されていない操作です
user@enlil:/tmp/w$ cat eicar.txt
cat: eicar.txt: 許可されていない操作です
user@enlil:/tmp/w$ ll
合計 8
drwxrwxr-x  2 user user 4096  2月 11 14:22 ./
drwxrwxrwt 27 root    root    4096  2月 11 14:17 ../
user@enlil:/tmp/w$ 

68バイトピッタリのeicar.comも、LF含めて69バイトのeicar.txtも、ファイルを表示しようとしたら削除されているね。これは先頭68バイトがEICARテストファイルのパターンにマッチしていると削除判定されるからなのよ。

GravityZoneコントロールセンターにも出てくるぞ。

もちろん、削除状態もわかる。

オンアクセス(リアルタイム)のBitdefenderのテストはこれで完了だ。オンデマンドのスキャンでも同様に確認できるが、ここでは割愛する。オンデマンドのスキャンはGravityZoneコントロールセンターで設定可能である。これについては追加の記事でご紹介できると思う。

Advanced Anti-Exploit発現っ!!

インストール後一週間もしないうちに"Advanced Anti-Exploit"警告が出た。これはウイルスそのものを同定できないが、ウイルスがやりそうな怪しい動きを検知する機能だ。

右側の通知領域に出現したAdvanced Anti-Exploitをクリックして"Show more"をクリック。 何やらレポート画面のようなものが現れるので、一覧の中から"Advanced Anti-Exploit"をクリックすると、下部に詳細内容が表示される。

Advanced Anti-Exploit has detected an exploit attempt in your network on the following endpoint:
Company: The Silver Key
Computer Name: enlil
Computer IP: X.X.X.X
Username: null
Attacked process name: BitdefenderRedl
Process ID of the attacked process: 2575250
Parent application name: N/A
Process ID of the parent application: N/A
Exploit technique employed: System/PrivilegeEscalation/Corruption
Action taken on the exploited process: Report Only
Payload file name & SHA256: N/A
CVE: N/A
Detection Time: 05 Feb 2023, 05:17:03

For more details, go to Security Audit Report

攻撃されたプロセスはBitdefenderRedlなるプロセス(PID)らしい。朝のバックアップ時にBitdefenderを再起動させてしまっているので確認のしようがないのだが、これはおそらくBitdefenderそのものであろう。誤検知でなければ、Bitdefenderをクラッシュさせようとするバッファオーバーフローやプロセス権限エスカレーションを実行しようとした悪意のあるプロセスがいたようだ。

EICARテストファイル以外に確認できたのは儲けものでもあるが、このPCは既に「陥落」している恐れが極めて高くなったので、データをバックアップした後Ubuntu 22.04.1をクリーンインストールし直したよ。。。

Bitdefender GravityZone Business Securityの購入

さて。細かなチューニングはまったく行っていないが、基本的な機能の確認が出来た。グッドだ。早速購入してしまおう。30日間の無償トライアルであるが、間際になって慌てると失効する恐れがある。フリートライアルの間は右側の「通知」(Notifications)のところに「ライセンス失効予定」(License Expires)との通知がずっと表示される。

もし貴方がご自分のカイシャ用に購入するならば、国内の販社を通す必要があるかもしれない。Bitdefenderの取扱店はあるにはある。

BitDefender国内正規パートナー弊社について
https://secureawake.com/company.html

株式会社サンブリッジセキュアウェイクという会社だ。同社による「営業文句の数々」については以下のサイトに記載がある。ここから無償評価もできるが、おそらく英語版へと案内されるであろう。

Bitdefender GravityZone 製品紹介
https://secureawake.com/BitDefender-GravityZone.html

肝心の価格と最小ライセンスについてだが、最小5ライセンス(内サーバは2ライセンスまで)からとなっている。値段が23,000円となっているが、おそらくこれは税別で、更に為替の変動に左右されると記載があるので円安の今となっては当てにならない提示金額であると思われる。

外国のリセラーから買うなら以下のサイトから申し込める。

GravityZone Business Security
https://www.bitdefender.com/business/smb-products/business-security.html

こちらは最小3ライセンス(内サーバは1ライセンスまで)から申し込める。3ライセンスなら1年で77.69USD。3年で私の時は170.93USD。+15.54%税で197.49USDとなるはずだが、リセラーの請求書は221.99USDとなっている。実際にクレジットカードの引き落とし予定金額は170.93USD(22,434円、1USD=131.246JPY)となっている。請求時点の為替がまだ不明なのであるが、170.93USDなのであろうか。

【支払い予定】
3年サブスクリプション(カード請求予定額):170.93 USD
日本円:22,434円(未確定)

今見ると3年で155.39USDと少し安くなっている。。。一度申し込むとディスカウントになるのか、単に値下げしたのか不明。

VISAのクレジットカードで購入した。MASTERは使えない。Bitdefenderはルーマニアの会社なので、ヨーロッパローカルなカード会社らしき他数社のカードが使えるようであったが、我々日本人はVISAしか使えない。

決済が済むとライセンスキーの貼り付けられたメールが届くので、ライセンスキーをGravityZoneコントロールセンターへログインしてライセンスキーを登録する。

まずは、GravityZoneコントロールセンターの右上の自分の名前のリストボックスより"My Company"を選択する。

続いて、"Licensing"をクリックする。

下の方の"ADD PRODUCT"という青いボタンをクリックしてライセンスキーを登録する。

フリートライアルのライセンスが削除され、自分の正規ライセンスが登録される。これでOKだ。

Linuxデスクトップはサーバライセンスを消費する。トータル3ライセンスなのでサーバライセンスは1のみ。Linuxデスクトップの登録が完了したので、サーバライセンス上限に達した旨の通知が右側の通知(Notificatoins)に表示される。通知が表示されていないときには、右上の鐘のマークをクリックする。

Bitdefender購入の管理

Bitdefenderの支払いは2Checkoutとよばれるサービスを利用している。Bitdefenderを購入すると、ここに自動的に登録されているので、自分のemailアドレスを使ってログインする。

2Checkoutログイン画面
https://secure.2co.com/myaccount/

Emailを入力後、緑色の"SEND ACCESS LINK"ボタンをクリックしてメールの到着を待つ。

ログインした状態。

画面上方の"My Products"をクリックすると、購入した商品である"Bitdefender GravityZone Business Security"が表示される。

この画面で"Stop automatic subscription renewal"をクリックして表示されるダイアログで更に"Stop auto-renewal"をクリックすると、自動更新を不活性化する事ができる。

まぁ、私は3年後に自動更新となるはずだが、その頃にはカードの有効期限が切れているから自動更新はされないであろうがね。

クレジットカード情報そのものを削除する事もできる。画面上部のメニューの"Payment Methods"をクリックすると今回の決済で使用したクレジットカードが表示されるので、"Remove"リンクをクリックすると"Delete credit card"というダイアログが表示されるので"Confirm removal"をクリックすれば削除される(はずである)。

しかし、まだクレジットカードの請求が来ていない段階でこれをやってしまうと支払いに失敗してしまうであろうから、製品ライセンスが無効化されてしまうであろう事に注意せよ。

ライセンス更新はまだ一度もやった事がないので方法はよくわからないが、おそらく"My Products"のページの"Upgrade now"ボタンをクリックするとできるのではあるまいか?登録済みクレジットカードの有効期限が切れていない事を事前に確認しておこう。

導入後の感想

入れて良かった。EICARテストファイル以外に未知のウイルスによるプロセス権限エスカレーション攻撃を受けてGravityZoneコントロールセンターに警告が上がった。"Advanced Anti-Exploit"と呼ばれる機能だ。誤報の可能性もあるが、猜疑心の強い私としては無視できず、すぐにネットワークを遮断してデータのバックアップを取り、Ubuntu 22.04.1をクリーンインストール後にBitdefenderを入れ直した。クリーンな状態から再開するのが良いからね。

まったく、Linuxデスクトップといえど油断ならない。そんな時代になったものだ。もはやLinuxデスクトップでもアンチウイルスソフトは必須であると、肌感覚で直に感じたよ。

さて。導入は終わったので、今度はBitdefenderの仕組みや機能を掘り下げていって使いこなしていこうと思う。乞うご期待。