ゲーム開発、自動車、半導体、金融サービスなど、幅広い分野を技術的に支援するソリューションを提供しているPerforceは、ゲーム業界のリーダーたちの戦略的な意思決定を助けるレポートの最新版「2024 State of Game Technology Report」を公開しました。
2024年版は、ゲーム開発者たちを悩ませている課題がさまざまな業界に波及している現状を鑑み、メディア&エンターテインメント、教育、エンジニアリング、自動車、製造などさまざまな業界でのテクノロジーに関する課題やデータを収集しています。
本稿では、レポートの中から「ゲームを始めとする各業界が抱える課題」と「AIの活用」に関する項目のハイライトを紹介します。レポートの全文はこちらからダウンロードできます。
業界が抱える最大の課題は「資金調達」
さまざまな業界で開発チームが複雑化するプロジェクトと限られたリソースの中で奮闘していますが、報告された課題や不満は業界や国を問わずほぼ同じでした。
回答者の36%が「資金不足」を最大の課題として挙げており、業種別に見るとメディア・エンターテインメント業界と教育業界が42%、ゲーム業界が37%となっています。
アメリカの新聞各社は2024年を「コスト削減の年」と呼んでいるほどで、景気の不透明感からリスクを避ける傾向が強まり、それが時間や人員の厳しい制約につながっています。
コラボレーションとイノベーションも大きな課題
資金調達に続く課題としては、「コラボレーション(チームメンバーや他チームとの共同作業)」と「イノベーションのための時間確保」(どちらも21%)が挙げられました。
レポートではAAAタイトルを手がける大手スタジオと小規模なスタジオでそれぞれ直面している課題が異なり、大手スタジオは、コラボレーションとイノベーションのための時間確保が大きな課題で、小規模スタジオは資金調達の困難がほかのあらゆる課題をはるかに凌駕しているとしています。
共同作業における最大の障壁は「大容量ファイルの移動」。プロジェクトの大規模化にともないアセットの大容量化が進むのに対し、データを円滑に送信/共有する手法やツールの整備が追いついていないとのことです。
イノベーションのための時間確保については、具体的には「チームメンバーの不足(51%)」と「アグレッシブなスケジュール(33%)」が阻害要因として挙げられ、この2つが組み合わさることでさまざまな業種が悩まされています。
課題の解決・解消が期待されるAIツール活用の現状
前述のような課題を解消するには、労働者各人の作業を減らし、その分創造的な業務に時間を割けるようにするソリューションが望まれます。そして、そのひとつとして大きな期待を寄せられているのがAIを活用したツールです。
回答者の65%以上が組織でAIツールを活用しており、もっとも広く使用されているのはChatGPTでした(47%)。2番目に多いGitHub Copilotは18%、3番目のMidjourneyは15%と、圧倒的な差が付いています。
ChatGPTは、自動車・製造業界が68%、エンジニアリングと建設・建築業界67%と、高い需要を示しました。また、教育業界ではDALL-E(28%)、Adobe Generative Fill(17%)、Midjourney(17%)など、画像生成AIがよく使われていることが分かりました。
メディアやエンターテインメント業界はもっとも多くのAIツールを活用しており、ChatGPT(56%)、Midjourney(35%)、DALL-E(25%)、Adobe Generative Fill(25%)となりました。
レポートでは、「さまざまな業界でAIツールに関する幅広い実験が行われていることは明白で、これらのツールがさらなる進歩を遂げることで、組織や開発チームの作業効率やイノベーション推進のためのワークフローがどのように改善されるかが注目される」としています。