小学校の眼科健診で、子どもが「視力1.0」という結果を持って帰ってきた。
友達には1.0未満の視力の子も多いという。


自分の場合、いまでこそメガネ族だが、子どもの頃は2.0や1.5で、周りの友人もほとんど1.2以上だっただけに、「いまの子どもはみんな目が悪くなっているのだな」と思っていたところ、「最高で1.0までしかいない」と言うではないか。

これ、本当なのだろうか。だとしたら、なぜ?
小学校教諭、中学校教諭をする友人たちに聞いてみたところ、
「ああ、それは本当。1.0が最高だから」
と口々に言われた。その理由は……。
「視力検査はいま、A、B、Cの段階別になっていて、1.5や2.0という数値はないんです。なんでって? 眼科の先生が健診するケースもあるけど、教員がやることも多いから、授業を受けるうえで問題あるかどうかを単にABCで分けるほうがラクだからだと思いますよ」
特に新入学時などは、眼科検診の答え方がわからない子もいるため、動物のマークなどを見せる方法をとったり、また、低学年では「Cのマークがどこを向いているか」と聞いているにもかかわらず、「あいている場所を指さすだけの子」がいたりと、混乱をきわめるのだという。

それにしても、「ラクだから」ということで、基準が変わったということ? 文部科学省・学校保健安全担当者に聞いたところ……。
「視力検査は、学校保健法の健康のなかに『視力の検査』という項目が、施行規則で定められているだけで、基準などはないんです」
「視力検査」をすることは定められているが、その方法や基準などにはきまりがないということらしい。

「ただし、この検査は、就学上支障があるかないかスクリーニングを主な目的としているもので、『日本学校保健会』で定期健康診断におけるマニュアルがあります」
そのマニュアルの中身というのが、「視力1.0まで」となっているらしい。
「マニュアルとしては、Aを『1.0を正しく判別できる』、Bを『0.7を正しく判別できる』、Cを『0.3を正しく判別できる』という三段階にしており、1.0以上の視力の場合は『就学上影響がないから、はかる必要がない』ということになっているんです」

このほか、「0.3を正しく判別できない」がD、さらに「E」も存在するそうだが、基本的にC~Eは「眼科医の受診が必要」であり、Bも「場合によって受診をすすめられる」のだそうだ。
つまり、「視力1.0以上は1.2でも1.5でも2.0でも、就学上影響がないから、学校で詳しく調べる必要がない」というだけで、「視力1.2以上の子がいない」というわけでは決してない。


ちなみに、この基準はあくまでマニュアルであって、100%の学校がのっとっているわけではないため、
「いまも学校の先生や医師の判断によって、1.2以上を測定している学校もあるかと思います」とのこと。

さらに、学校の眼科健診においては「薄暗い部屋で順番に機械的に聞いていくだけなので、アテにならない」などと話す中学校教諭もいた。

学校ではかる視力は、あくまで「就学上問題がないか」であり、詳しく知りたいなら、やはり眼科医の受診が必要です。
(田幸和歌子)
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