イスラエルが「重大な違反」、シリアとの緩衝地帯を工事で侵害 国連が警鐘
(CNN) 国連は、イスラエルが50年来のシリアとの合意に対する「重大な違反」を犯し、ゴラン高原の重要な緩衝地帯を侵害する「土木工事活動」を行っていると非難した。
国連兵力引き離し監視隊(UNDOF)は13日、声明で「1974年の兵力引き離し協定違反が発生し、土木工事がAoS(分離地域)に及んでいる」と述べた。UNDOFは同年以降、イスラエルとシリアの停戦を維持している。
プラネット・ラボと欧州宇宙機関(ESA)の衛星画像によると、イスラエル国防軍(IDF)は8月中旬からシリアのジュバタ・アル・ハシャブ近郊で掘削活動を行っている。あたりには幅約12メートルの大がかりな土手が築かれている。
溝の距離はほぼ8キロに及んでいる。
最近の衛星画像からは、溝をさらに延長する作業が続いていることが分かる。今月5日に撮影されたプラネット・ラボの画像には、掘削機などの重機が稼働している様子が写っている。
UNDOFによると、「大規模な土木工事活動」はシリアとイスラエル占領下のゴラン高原を隔てるアルファラインに沿って行われている。工事は7月に開始され、使用されている掘削機などの重機は装甲車や兵士が保護しているという。74年の協定に違反してIDFの主力戦車も時折非武装地帯に存在している。
UNDOFは「建設工事に抗議するため繰り返しイスラエル国防軍に関与」してきたと述べた。シリア当局も懸念を示しており、「強く抗議」している。
イスラエルはゴラン高原を国家安全保障上の要衝とみなしており、シリアとイランの代理勢力の脅威をかわすためにこの地域を支配する必要があるとしている。
UNDOFは12日、イスラエルが建設について、イスラエル側のアルファラインに沿って「民間人の無許可の越境や侵害を防ぐための防衛目的で行っている」と説明したと述べた。