コロナ禍で高まるテイクアウトニーズにスマートフォンアプリで応える
単なるオンライン受注で終わらない、“真心“を感じるコミュニケーション
株式会社フライングガーデンは、関東近郊に57店舗を構えるファミリーレストランチェーンだ。看板メニューの『爆弾ハンバーグ』は、出来立てをお客様の目の前で切り分けるというこだわりの演出で提供しており、美味しさの追及だけでなくホスピタリティ溢れる接客も相まって、地元の人々に長年愛されている。2020年にはお持ち帰り専門店もオープンするなど、時代に合わせた新たな取り組みにも積極的だ。
今回は、営業部 情報システム担当の椎名氏に、『betrendスマートフォンアプリ』の導入経緯と成果についてお話を伺った。
コロナ禍で急増したテイクアウトニーズ、電話注文の限界を感じオンライン対応を検討
一方で、こだわりのハンバーグをご自宅でも食べられるお弁当のテイクアウトサービスも15年以上前から展開している。コロナ禍でテイクアウトニーズも高まっており、2020年には新業態のお持ち帰り専門店『フラガ☆デリカ桐生巴町店』も開店した。これまでテイクアウトサービスの注文は電話のみで受け付けており、いくつかの課題があったという。
「テイクアウトサービスはご好評をいただき、年間数十万食のご注文をいただいておりました。しかし、電話注文の場合、口頭のため受注ミスが起きたり、他のお客様のお電話を受付している間に機会損失が生じて困っていました。電話注文に対応する人的コストも課題でした。」(椎名氏)
これらのテイクアウトサービスに関する課題への解決策として、オンライン受注システムの導入を検討することとなった。
アプリ経由のオンライン受注を開始 3ヶ月でテイクアウト売上が4倍に増加
オンライン受注システムの調査・検討には1年以上かかっていたという。コロナ禍で浸透したフードデリバリーサービスは導入しており、配達員の確保も含めたメリットがあるが、テイクアウトの受注については外部メディアを使ってしまうと売上の10~15%もの手数料がかかるため、導入に踏み切れなかったという。
一方、同社が既に導入していたネットショップ構築ASP『MakeShop byGMO』と『betrendスマートフォンアプリ』の連携により使用できるモバイルオーダー機能では、1店舗ごとの導入費用が他社システムと比べ安価で、売上に応じた追加費用も発生しない。大手飲食店での導入実績も評価いただき、採用につながった。受注システム単体での導入ではなく、スマートフォンアプリが入り口として機能する点も重要だったという。
「アプリからのテイクアウト注文は24時間可能なので、店舗の営業時間外のご注文も増えています。電話だけでは受注が難しかったご注文も受け付けることができていると実感しています。」(椎名氏)
また、電話での受注件数が相対的に減少し、電話注文における受注ミスや人的コストの課題も改善し始めている。
アプリの会員ランク制度導入により、上顧客の”見える化”を実現
同社ではテイクアウトサービス以外にも様々な形で本アプリをご活用いただいている。その中でも特徴的な施策を実施しているアプリ会員へのプッシュ通知や会員ランク制度についてお話を伺った。
プッシュ通知では積極的にキャンペーンや新メニューの情報を配信しており、2022年3月に東京電力管内の“電力需給ひっ迫警報”が発令された際には店舗での対応方法をお知らせするなど、お客様への突発的な連絡手段としても活用されている。
「お客様への情報発信には外部メディアを利用する方法もありますが、即時に発信ができないこともある上、コストがかかります。一方、アプリのプッシュ通知は、発信したい時にスピーディーにコストをかけずに発信できるので重宝しています。」 (椎名氏)
手軽に発信できるプッシュ通知だが、同社では回数や頻度、配信時間などに配慮し、重要なお知らせのみ配信して注目してもらえるよう工夫されている。
また、来店時には店舗に設置しているQRコードを本アプリで読み取ることで来店ポイントが貯まり、来店回数に応じて会員ランクが上がっていく会員制度を導入している。会員ランクを区分したことで、上顧客の”見える化”が実現し、今後の販促施策を検討するための大きな指標になると、椎名氏は語る。
「ファミリーレストランは、お客様にいかにリピートしていただけるかが非常に重要なので、アプリの会員ランク制度によって上顧客のお客様を把握できるのは有り難いです。」
『betrendスマートフォンアプリ』では、来店回数や顧客属性に応じてメッセージやクーポンの出し分けができるため、会員ランクに応じたきめ細やかな販促施策が実現する。同社は、限定クーポンの配信など、地域ごとの販促も検討している。
目標の2.5倍のスピードで増え続ける“使いたくなるアプリ”の会員獲得施策
本アプリの会員数は、リリースから半年で75,000人となっており、当初の目標の約2.5倍に上る。椎名氏も想像以上の会員数の伸びに驚いたというが、会員獲得施策についてお話を伺うと、成果の理由が見えてきた。
同社が行った主な施策は次の通り。
- テーブルにアプリダウンロードの案内POPを設置
- 登録特典としてドリンクバー無料クーポンをプレゼント
- テイクアウトのチラシでアプリ注文を案内
- アプリに関するQ&Aを店舗スタッフに周知
アプリダウンロードの案内にはQRコードを掲載し、手軽にダウンロードができる仕組みになっており、併せて“ドリンクバー無料”という魅力的な登録特典を提示することで会員登録へのモチベーション向上につなげている。
また、アプリの来店ポイント獲得用QRコードをレジ横に大きく設置するなど、お客様がアプリの存在を知り、利用したくなる工夫が様々に施されており、これらの一連の施策が会員数増加の成果を生み出している。
社内スタッフの理解促進も心がけ、より多くのお客様にアプリを利用してもらいたい
最後に、椎名氏に今後の展望を伺った。
「順調に伸びているアプリ会員数を引き続き増やし、アプリ経由のテイクアウト注文の割合を現在の5%から15%まで伸ばすことを目標にしています。そのためには、アプリ活用のメリットを社内スタッフにも伝え続けていくことが大切だと考えています。やりたいときに、やりたいことが、低コストでスピーディに実践できる『betrendスマートフォンアプリ』を今後も活用していきたいと思います。」
テイクアウト注文のデジタル化を契機に、アプリを通じた施策で顧客に喜んでもらえるサービスを増やしていこうとする同社の、真心溢れる姿勢が伝わってくるお話だった。
*文中の商品名、社名等は、各社の商標または登録商標です。
*記事の内容は、2022年4月取材時のものです。