中国は事件の早期沈静化狙う? 上川氏「反日投稿」の取り締まり要求
上川陽子外相は23日(日本時間24日)、米ニューヨークで中国の王毅(ワンイー)・共産党政治局員兼外相と会談した。広東省深圳市で日本人学校に通う男児が襲われて死亡した事件をめぐっては、背景などへの現状認識の違いが浮き彫りになった。
55分間の会談で、上川氏は事件の動機を含む真相解明や中国に住む日本人の安全確保のための具体的措置を要求。また、「根拠のない悪質で反日的なSNSの投稿は、子どもたちの安全に直結し絶対に容認できない」として、早急な取り締まりの徹底を強く求めた。
今回の事件では、反日的な投稿が事件の引き金になったかは不明だ。ただ、日本外務省は日本人学校を誹謗(ひぼう)・中傷する中国のSNS上の書き込みがあることを把握。6月の江蘇省蘇州市でのスクールバス襲撃事件後に中国側が規制を強化していたが、今回の事件で日本国内で改めて書き込みが問題視されたことから、日本側は事態を重く見て問題提起した。
一方、中国外務省の発表によると、王氏は「日本側は事件を冷静かつ理性的に扱うべきであり、政治問題化し、拡大させることを避けるべきだ」と述べた。
中国外務省の林剣副報道局長も24日の定例会見で、改めて事件を「個別の案件」と強調。SNSでの反日的な投稿と深圳の事件の関連性を問われると、「日本国内で両者を関連づけ、安全リスクとして大げさに騒ぎ立てるような言論があるようだが、明らかに事実と異なる」と否定した。
中国側は早期に事態を沈静化させ、日中関係への影響を抑えたい思惑がにじむ。
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