プーチン氏、忠実な「殺人犯」取り戻す 「囚人交換」、米欧に課題も

有料記事

[PR]

 米国やロシアなど7カ国は1日、冷戦後で最大規模となる計24人の受刑者らの身柄交換を実施した。米政府はロシア側の不当な拘束から解放した「外交上の偉業」と自賛するが、ロシアも政権に忠実な「殺人犯」らの解放に成功しており、今後のロシアの国外での非合法活動への対応に課題を残すことになった。

 ロシアが解放したのは、米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシュコビッチ記者や元米海兵隊員のポール・ウィラン氏、ロシアの野党指導者や反政権活動家ら16人。米欧は、スパイなどの罪で収監されていた8人を引き渡した。加えて、2人の子どももロシア側に渡った。

 ロシアのプーチン大統領は同日、モスクワの空港で帰国した人々を出迎えて抱擁。「この中でも軍務に直接関係するみなさんには、祖国への忠誠に感謝する」とたたえた。

 解放交渉で、特にロシアが重視したのが連邦保安局(FSB)の工作員ワジム・クラシコフ受刑者とみられる。ドイツで殺人の罪で終身刑を言い渡されていた。

当初は消極的だったドイツ

 プーチン氏は今年2月、元米…

この記事は有料記事です。残り566文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2024年8月3日9時2分 投稿
    【視点】

     今回の措置は、「等価交換」ではありません。ロシアにとって圧倒的に有利な交換です。プーチン大統領としても、ドイツのショルツ政権がクラシコフ元受刑者の釈放とロシアへの送還に応じるとは思っていなかったでしょう。もちろん、クラシコフ元受刑者のよう

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    越智萌
    (立命館大学国際関係研究科准教授)
    2024年8月3日12時21分 投稿
    【視点】

    「罪に応じた罰を受けさせる」ことが刑事司法制度の主目的である一方で、他国にいる政治犯との交換のために刑が完全執行されないことは、歴史上たびたび起こってきました。ハリス氏は検察官であり、正義を追及するという堅いイメージもあったかと思いますが、

    …続きを読む