ラオスの子ども支援で図書室を整備し本を寄付 南山大生ら有志
教育格差が大きく、小学校を中退する児童もいる東南アジアのラオスで、南山大学(名古屋市昭和区)の学生有志でつくる国際協力団体「BWP愛知」が、本を自由に読めるよう支援を続けている。1月までに図書室を学校に整備し、約600冊の本を寄付した。学生たちは「ラオスの教育問題に目を向けて」と話す。
活動のきっかけは2018年。発足したBWP愛知の当時のメンバーがラオスの現状を知り、「少しでも教育環境の改善につながれば」と募金活動を始めた。
集めたお金をNPO法人「ラオスのこども」(東京都大田区)に託し、支援をお願いした。同法人は1982年以来、ラオス国内で約350の学校で図書室を整備する実績があった。
同法人によると、ラオスの小中学校で図書室があるのは全体の10~15%ほど。15年の調査では、識字率はラオ族の90%以上に対し、モン族は70%、アカ族は36%と民族間で格差もあった。さらに、公用語のラオス語による授業についていけないなどの理由で、小学校を中退する児童はラオス国内で15%ほどという。
本棚や必要な書籍をそろえるには、1室あたり約30万円が必要だ。BWP愛知は18、19年と寄付金を集めたが、新型コロナウイルスの流行で20年初めごろから、チャリティーイベントなどの活動が思うようにできなくなった。25人いたメンバーも3人に減るなど、団体の存続も危ぶまれた。
解散を踏みとどまらせたのは、名古屋市の街頭で寄せられた「約5万円」の支援金だった。現代表の山口貴史さん(23)は「ラオスのために寄せられた思いを無駄にしたくなかった」と振り返る。
コロナ禍も落ち着き、昨年3月、残されたメンバーで活動を再開。現在8人が毎月1回、名古屋市中区の名古屋三越栄店前の路上でラオスの国旗などを持ちながら、買い物客らに支援を呼びかけている。
内陸国のラオスは、隣国ミャンマーやタイと比べて認知度が低く、支援が不足している、と学生らは感じており、SNSでの情報発信にも力を入れてきた。
昨年12月までに追加の図書購入費も含め、35万円が集まり、目標額に達した。このお金で、ラオス中部のカムワン県にある中高一貫校の空き教室が図書室として整備されたほか、約600冊の本と図書関係の備品を届けることができた。
山口さんは、「本を通じて、子どもたちが好奇心を持ち、世界を広げられるように支援したい。図書室をつくるだけでなく、先生や生徒だけで持続的に維持管理ができるように研修にも力を入れたい」と話す。
今後も募金活動を続け、次回は24日午後3~5時。
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