一度の「成功体験」が現場を追い込んでいった ダイハツ変容の転機

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中村建太 近藤郷平
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 「机上で決定した日程は綱渡り日程でミスが許されない」「なんとか力業で乗り切った日程が実績となり、無茶苦茶(むちゃくちゃ)な日程が標準となる」

 ダイハツの車両認証試験の不正について調査した第三者委員会が調査の一環で行ったアンケートには、従業員たちのやるせない言葉が並んだ。

 今回新たに発覚した不正の中には、安全面に関わりうるものもあった。エアバッグの試験では、衝突検知時に自動で作動させる必要があるにもかかわらず、タイマーを仕込んで作動する細工を施していた。タイヤの空気圧を調べる試験では、うその数値を記載して申請を行った。

 第三者委は、技術志向の企業だったダイハツを変容させた一つが、「1ミリ1グラム1円1秒」にこだわって低コストかつ迅速に新車を生み出す「短期開発」だと指摘した。

 その転機となったのが、20…

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この記事を書いた人
中村建太
経済部|国土交通省担当
専門・関心分野
運輸政策・産業、ものづくり、地方格差
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    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2023年12月21日11時6分 投稿
    【視点】

    ニュースでユーザーのインタビューを見ると、皆さん「トヨタが親会社だから安心していた」「トヨタグループだから間違いがないと選んでいた」と答えている。ところが第三者委員会の発表を読むと、むしろ親会社トヨタの期待に応えるために、現場は身の丈にあわ

    …続きを読む