マイナ「突貫」総点検のアナログ作業、自治体は「圧倒的な人手不足」

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 政府による「マイナンバー情報総点検」の結果が12日公表され、332自治体の点検による全国状況が明らかになった。政府がめどとした「11月末」に間に合わせようと、各自治体は、人手を増やしたり、照合システムを開発したりして作業を急いだ。巨大システムの急速なデジタル化が抱える課題がのぞいた。

 東京都は同日、担当分の身体障害者手帳療育手帳精神障害者保健福祉手帳を点検した結果、17件のひもづけミスがあったと公表した。個人情報の流出は確認されていないという。

 ミス件数はわずかだが、見つける作業は甚大だった。対象は計約59万件。手帳情報の管理システムと、別のシステムの双方から情報を抽出して照合する作業には、都によると新たなシステム開発が必要だった。委託業者が11月半ばに完成。そこからエラー情報を1件ずつ目視で確認した。別部署の応援30人を含む45人で作業したという。

 ある担当者は「一つ一つの確認作業に手間がかかり、人手が圧倒的に足りなかった。『そんなに急がれても限界がある』と国には伝えたかった」。別々のシステムにマイナンバーというシステムを国が新たに導入しようとしているとして、「整えるのに時間がかかる」とも話した。

 大阪府は7月末から担当の地域生活支援課や出先機関の職員4~6人態勢を組み、2人一組で作業を続けた。点検のための増員はなく、通常業務と並行で進めた。その結果、身体障害者手帳で個人番号のひもづけの誤りが8件見つかった。さらに更新手続きの際の誤り2件も判明した。いずれも正しい個人番号に修正されたという。

 担当者は日程の厳しさを挙げつつ、「(総点検は)やむを得ない。職員が確認しないといけない部分は絶対に残る」とデジタル化が抱える課題を挙げた。吉村洋文知事は12日の取材に、マイナンバーのひもづけについて「人の作業が入るので、間違いはゼロにはならないと思う」と話した。今後、府のシステムに登録してある個人番号と、元データとなる住基ネットに登録しているデータとの照合を追加で行う方針を示した。

デジタル化で行政手続きを簡便にする。たしかに、利用者のメリットは大きいようですが、今のところ、実現には膨大なアナログ作業を必要とします。デジタル化を前提にしていなかった仕組みをデジタル化するひずみが、記事後半で紹介する自治体の点検作業からは見えてくるようです。

 福岡県でも東京都と同様、身…

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