子どもの目で見たホロコースト 「メンゲレと私」監督インタビュー
ナチス・ドイツによるホロコーストのさなか、12歳でアウシュビッツ強制収容所に送られたユダヤ人生存者の証言を記録した映画「メンゲレと私」が3日から公開される。体験した悲劇の証言や記憶を残す意味はどこにあるのか。オーストリア人の映画監督クリスティアン・クレーネスさんに聞いた。
――映画公開を前に、パレスチナのイスラム組織ハマスとイスラエルによる暴力の応酬が続いています。今回の事態をどう見ていますか。
「極めて複雑な今回の紛争を評価、分析したいとは思いません。ただ、イスラエルでもガザ地区でも、子どもたちを失った両親や祖父母の悲しみに違いはありません。今後、双方にさらなる犠牲者が出ることで、お互いが信頼し平和的に共存できるようになるまでにはさらに多くの時間がかかることでしょう」
――今回、映画で証言したダニエル・ハノッホさん(91)とはパレスチナ問題について議論しましたか。
「私たちとの会話の中で、パレスチナ問題について多くのことを語り合いました。イスラエルに住む彼は、こんな右翼ファシスト的な政府ができることなど思いもよらなかった、信じられない、と(パレスチナ側との和平に否定的な)自国政府を公然と強く批判している人物です。自分の国の行く末について非常に心配していました」
――ダニエルさんは、リトアニア出身のユダヤ人で、9歳の時にカウナス郊外のゲットーに送られ、12歳でアウシュビッツ強制収容所に連行された体験を語ります。強制収容所で育った子どもに焦点を当てたのはなぜですか。
子どもに強いられた生き延びるための判断
「子どもの視点というものは汚れのないものです。今回の映画はホロコーストをめぐる証言を記録した3作目ですが、そこが大人の視点で描いた前2作とは大きく異なります。ダニエル少年は家族から思いもよらずに引き裂かれ、危機的な状況に直面する。両親の行方も、自分がどこにいるかも想像すらできない。その中で生き残る術(すべ)を身につけていく。様々な危機を乗り越えてきた大人なら、生き延びるための判断ができるかもしれない。そして自分の判断によって生死が左右されるのです。彼も自ら判断をして乗り越えた。もちろん別の判断をすれば、生き残ることはできなかったでしょう」
――彼は以前からよく知られていた存在だったのですか。
「2016年にエルサレムの…
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- 【視点】
ホロコーストに関しては幼少の頃から映画や本で触れてきた。エルサレムのホロコースト記念館にも行ったことがある。なぜ人種が違うというだけで人は人を迫害し、虐殺をしてしまうのだろうと、純粋に疑問を持ち続けてきた。しかし、私だってもしかしたら時代や
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