国として初の飲酒ガイドライン案 ビール1杯で高まる大腸がんリスク
飲酒のリスクなどを盛り込んだ国として初の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」案を厚生労働省が22日まとめた。長期にわたり多量に飲酒することでアルコール依存症や生活習慣病、肝疾患、がんを発症しやすくなると警告。大腸がんの発症リスクを高める純アルコール量を1日あたり約20グラム(週150グラム)、生活習慣病のリスクを高める量を男性で1日あたり40グラム以上、女性で同20グラム以上などと例示した。22日の有識者検討会に示す。
純アルコール20グラムはビールで500ミリリットル(中ジョッキ1杯程度相当)、日本酒で1合程度に相当する。ガイドライン案は「高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などの場合は、たとえ少量でも発症リスクを上げる」とし、「飲酒量をできるだけ少なくすることが重要」と強調した。
厚労省の患者調査によると、アルコール依存症の総患者数(2017年、推計)は4・6万人。1人あたりの酒の消費量は近年減っているが、総患者数は1996年の4・7万人から横ばいだ。こうした中、13年に成立したアルコール健康障害対策基本法に基づくアルコール健康障害対策推進基本計画が、飲酒量など「具体的で分かりやすい」ガイドラインの策定を求めていた。
多くの自治体などはこれまで適度な飲酒量を「20グラム」とし、海外のガイドラインでは米国が男性で1日あたり28グラム以下、酒豪で知られるロシアでも同30グラムとする。同省が7月に示したガイドラインの「たたき台」では「20グラム」の例示がなく、有識者から「飲酒量を減らそうという世界の潮流に逆行している」と批判が出て、修正した。
ガイドライン案では女性や高…