神田財務副大臣、滞納の繰り返し認め「深く反省」 辞職は否定

松山尚幹
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 自民党衆院議員の神田憲次財務副大臣(60)は9日、参院財政金融委員会での答弁で、自身が代表取締役となっている会社が保有する土地と建物が、固定資産税の滞納により、過去に4度、差し押さえを受けていたことを明らかにした。その上で「皆様方をお騒がせし、申し訳なく存じます。深く反省しており、今後はこのようなことがないよう注意する」と謝罪した。また、「引き続き職務の遂行に全力を傾注する所存です」とも述べ、副大臣の辞職については否定した。

 立憲民主党の勝部賢志氏の質問に答えた。文春オンラインが8日、神田氏の個人会社が地方税の滞納を繰り返し、同社が所有するビルが過去4回、差し押さえを受けていたと報じており、これを認めた形だ。なぜ滞納していたかについては「事情の経緯は精査中」などと繰り返した。

 勝部氏は何度も差し押さえを受けている点から「確信犯ではないか」とただしたが、神田氏は「督促状等々の文書は税理士事務所スタッフに任せていた。私が業務多忙でなかなか関知できなかった」と述べた。一方で「(督促状は)来ていたと思う」とも語った。

 報道によると、神田氏は税金の滞納のほか、税理士資格を持っていながら、日本税理士会連合会が定める研修を受講していなかったことも指摘されている。神田氏はこの点も認めて「深く反省している」と謝罪した。

 勝部氏が質疑の最後に「副大臣の身を引くべきだ」と迫ると、神田氏は改めて謝罪した上で、「これまで政治家としてなすべきことをなしてきたという自負はあるが、引き続き、職務の遂行に全力を傾注する所存です」とした。

 鈴木俊一財務相は「国民の皆様から税を納めて頂くという財務省の立場からして、副大臣、私も含めて高い倫理観を持たなければいけない」と話しつつも、「(神田氏には)引き続き、真摯(しんし)に説明を続けて頂きたい」と述べるにとどめた。

 午後の質疑でも追及を受けた神田氏は「議員の職務が忙しくなる中で、郵便物を見ることが遅れた」「督促状をあまたある書類の中から発見した時には納付した」などと答弁。共産党の小池晃氏は「国会議員だから忙しくて見なかった。そんな言い訳が通用すると思っているのか。国会議員だからこそ、納税の義務を真っ先に果たさなければいけないのではないか」と批判した。

 神田氏は報道が出た8日、財務省内で報道陣に「これから精査する」と明言を避けていた。

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この記事を書いた人
松山尚幹
国際報道部
専門・関心分野
外交・安全保障、政局と政策、財政税制
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    岩尾真宏
    (朝日新聞名古屋報道センター長代理)
    2023年11月9日13時5分 投稿
    【視点】

    憲法30条で「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」と定めてあるように、言うまでもなく納税は、勤労、教育とともに国民の三大義務の一つです。  その上で、自身の個人会社が固定資産税を滞納し、過去に4度も同社のビルが差し押さえを

    …続きを読む