大槌町議会、未公布条例の遡及適用案を否決
【岩手】大槌町で、議決した条例などの公布(町長が署名し掲示する行為)を1年半にわたり怠り、法的に無効状態になっている問題で、同町議会は13日、条例をさかのぼって有効にするために町が提出した議案を、賛成1、反対10で否決した。
地方自治法では、議決された条例・規則は3日以内に議長から首長に送付し、首長はその日から20日以内に公布しなければならないと定めている。公布方法は、大槌町が条例で定めており、町長が署名し、役場前に掲示するとしている。
しかし、町は2020年4月から21年9月の間、町議会が議決した条例46件と町長が決裁した規則36件の公布手続きを怠っていた。
町は未公布に気がついた後、同年11月までにこれらの条例と規則について、署名、掲示を終えたが、議長の送付から20日以上経過していることから、この手続きが「公布」にあたるかどうかも問われている。中には、町税や保険料の増額を含む条例もあり、無効なら不当に多く町民から徴収し続けていることにもなる。
町は、弁護士らで構成する第三者委員会を設置し、6月に「一般的な意見」として、さかのぼって条例の適用が認められるとの考え方を基本に検討すべきだと答申を受けた。
答申を受けて町は、対象となっている条例46件のうち、施行日前に気がついて掲示した3件はそのまま有効とし、施行日を過ぎていた43件については、掲示日を条文の施行日とする異例の「整備条例案」を提出した。
この方針に対し、町議会は6月末の全員協議会で、安易に日付をさかのぼるような遡及(そきゅう)措置を取って決着させれば、全国的なあしき前例になる、などと反発。定例会の一般質問でも、「住民への説明が先だ」などと疑問視する声が噴出していた。
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