白鷗大の藤井亮二教授(財政政策)は、経済対策のたびに膨張する基金について「安易に乱用されている」と危惧する。コロナへの緊急対応は仕方のない面があるとしつつ、問題は別のところにあると指摘する。何がいけないのか。
――政府の基金の残高が急速に増えています。
「過去にもリーマン・ショックなどの危機に対応するために基金が多用された時期はあった。今回の特徴は、規模が大きく、期間も長いところにある。使い残しが16兆円を超えるのはどう考えても異常だ。岸田政権が掲げる『単年度予算主義の弊害是正』の美名のもとに、本来抑制的であるべき基金が安易に乱用されている気がしてならない」
――なぜこのような事態になったのでしょうか。
「コロナ禍で社会から『命よりも財政が大切なのか』という、否定しようが無い命題を突きつけられ、財政出動へのためらいが一蹴されたからだ。そこに、コロナ対策に取り組む姿勢をアピールしたい政府の思惑が重なった。総額ありきの経済対策が繰り返されるなかで、十分に使途を吟味しなくても、巨額の予算を計上できる基金が便利に使われたといえる」
――基金は必要だったのでしょうか?
「確かに、ワクチン確保や企…
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