首相、健康保険証の廃止延期の可能性示唆「現場の意見うかがい対応」
岸田文雄首相は27日、視察先の福岡市内で記者団の取材に応じ、来秋のマイナンバーカードへの一体化に伴う健康保険証廃止について、「視察などを通じて医療関係者の意見を含め、現場の意見をうかがいながら対応を考えていきたい」と述べ、期限を延長する可能性を示唆した。
岸田首相はこの日、記者団から「政府として(廃止時期を)延期する考えはあるか」と問われ、「マイナンバーカードは現在、総点検を実施している」と説明。そのうえで、「明日は介護施設のデジタル活用の現場を視察することを予定している。マイナ保険証への移行のあり方についても明日の視察などを通じて医療関係者の意見も含め、現場の意見をうかがいながら対応について考えていきたい」と語った。
首相は6月の記者会見で、保険証廃止について「全面的な廃止は国民の不安を払拭(ふっしょく)する措置が完了することが大前提」と述べつつ、廃止時期を来秋とする方針は維持する姿勢を強調した。
一方、その後もマイナンバー制度をめぐるトラブルが相次いで発覚。今月24日以降、自民党の萩生田光一政調会長や世耕弘成参院幹事長から保険証廃止の延期を求める声が出たが、河野太郎デジタル相は27日の参院特別委員会の閉会中審査で、「不安の払拭に努めたい」と述べ、来秋の廃止方針を堅持する考えを改めて示していた。
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- 【視点】
岸田首相の金看板である「聞く力」を発揮し、マイナンバーカードへの一体化に伴う健康保険証廃止期限の延期を決断――。そんなストーリーに仕立てるべく、布石を打った発言といった印象を抱きました。 ただ、自民党幹部から、保険証廃止の延期を求める声
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