なぜだろう。
150キロを超える豪速球を投げるわけでも、切れ味の鋭い変化球を操るわけでもない。
なのに、打たれない。
昨オフ、プロ野球で初めて導入された現役ドラフトで、ソフトバンクから阪神へ移籍した大竹耕太郎が、その投球術でセ・リーグの打者を翻弄(ほんろう)している。
プロ6年目の左腕は開幕ローテーションをつかむと、13日現在、5試合に登板して無傷の5連勝だ。防御率は0・59。神がかった投球を続け、新天地の熱狂的なファンを驚かせている。
「打者をよく見て、1球1球、丁寧に投げることを心がけていることが好結果につながっている」
さらに、こう続けた。
「体の使い方、力の伝え方がわかってきたんです」
大竹は週に1回、チームの全体練習が始まる前の午前中、「ある教室」へ通っている。
5月上旬、自転車で向かった先は、自宅近くのマンションの一室だ。
部屋を改修したレンタルルームには、マットや木刀が用意されていた。
Tシャツに短パン姿。「先生」と1対1で向き合うと、授業は始まる。
木刀を握って押し合ったり…
- 【視点】
記者の悪い癖ですが、選手が新しいこと(趣味など)を始めると「それはどういうところで競技につながるのか?」と聞いてしまいがちです。 大竹投手の場合も、ウクレレや生け花をやって投球向上につながったのか、という視点になりがちですが、おそらく
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