第2回「ロシア人殺す」叫ぶ少女、衝撃受けた高齢者 国営TVがあおる恐怖
ロシア極東の街で1月下旬、ウクライナ侵攻に参加する兵士への支援物資を届けるボランティア団体が指定した受取場所を訪れたリディアさん(65)の手には、靴下などが入ったレジ袋が握られていた。
「自分でも何かをしないといけないと思い、いろいろ集めました。甘いものは絶対必要なので、お菓子も買ったんですよ」
ウクライナへの侵攻を続けるロシア。1年以上経ったが、反戦運動は影を潜め、いまもプーチン大統領は高い支持率を維持している。その大きな要因がメディアと一体で拡散されている政権のプロパガンダだ。多くのロシア人が見る世界は、日本での認識と大きく異なる。ロシアの人たちが住むのはまるで「アナザーワールド」(もう一つの世界)となっている。
この日は風が強く、体感温度は零下30度近く。リディアさんは紫色のダウンコートを着込み、ニット帽の上にフードをかぶる。優しい響きの言葉を口にする度に、真っ白な息が漏れた。
ロシア極東地域の年金支給額は月に2万ルーブル(約4万円)ほど。楽ではない生活の中で懸命に用意した物資なことがうかがえた。
そんなリディアさんを駆り立てたのはテレビで見た番組だ。有名な歌手が見せたウクライナ東部ドンバス地方で撮影したというビデオには、破壊された家の跡地に横たわる小さな赤ちゃんの姿が映っていた。家族は全員殺されたのだという。「この子はどう生きていくのか」と心配したリディアさん。自分にできることをしようと決めた。
「ロシア語を話すとおので殺される」
ロシアでは、プーチン政権が…
- 【視点】
ロシアのプロパガンダの影響力を物語る記事だが、すべての人がこうしたプロパガンダを信じているわけではない。しかし、外国に関する情報が乏しければ、そうしたプロパガンダがすんなり入ってきてしまう。人が国際関係を学び、批判的な思考を獲得することの重
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