「町」の読み方はマチかチョウか 東西ざっくり二分、飛び地に残る謎

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小川尭洋
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 この地方自治体の「○○町」の読み方は、「○○ちょう」「○○まち」のどっちだっけ!?

 転勤などで引っ越しが多い方なら、この時期、そんなふうに戸惑う人もいるかもしれない。

 昨年春、山形県に赴任した筆者もその一人。山形県を含む東北地方では、「まち」と訓読みをする「町」が多い。以前勤務していた広島県三重県では、「町」はすべて音読みの「ちょう」だったからだ。赴任から1年が経とうとしているが、いまだに言い間違えそうになる。

東日本側は「まち」優勢の傾向

 そこで日本全国ではどうなっているか調べてみた。

 総務省が示している「町」の読み方をもとに、「ちょう」と読む町が多い都道府県、「まち」と読む町が多い都道府県、というルールで区分けしてみた。

 すると――。

 東日本は「まち」が優勢で、西日本は「ちょう」が優勢だという傾向が見えてきた。東北6県でみると、岩手以外はすべて「まち」が多数派だった。一部の例外はあるものの、ざっくり言えば東西で「まち」と「ちょう」が二分されている状況が浮き彫りになったのだ。

 地名の研究をしている日本地図センターの客員研究員・今尾恵介さんに、その理由を聞いてみた。

 今尾さんは「推測の域を出ない」と前置きをした上で、二つの説を挙げた。

 ①現在の市町村制が施行され…

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この記事を書いた人
小川尭洋
デジタル企画報道部
専門・関心分野
人種差別、海外ルーツの人々、歴史認識、政治と教育
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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2023年4月20日14時27分 投稿
    【視点】

    一つの漢字の読み方がいろいろあるのは、同じ漢字文化圏の韓国(今はハングル一色ですが)と比べても、日本の独特な文化。ルールをあまり決めすぎず、非合理でもあいまいに多様性をそのまま認めてしまうというのは、日本語を学ぶ外国人にとってはえらい迷惑か

    …続きを読む