徴用工問題で最終調整 賠償を韓国側が負担、日本は「おわび」継承

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 韓国大法院(最高裁)が日本企業に元徴用工らへの賠償を命じた問題で、韓国政府が近く解決策を発表する方向で最終調整に入った。韓国政府傘下の財団が賠償を肩代わりする。これに対し、日本政府は歴代内閣や1998年の日韓共同宣言で示してきた植民地支配への「反省とおわび」を継承していると表明し、日本の経済界も「未来志向」の事業に取り組む方向だ。

 複数の日韓両政府の関係者が明らかにした。徴用工問題は日韓で最大の懸案になっており、実現すれば、関係改善が大きく進むことになる。

 日本政府関係者によると、韓国政府が解決策を公表した後、岸田文雄首相が韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と会談し、「反省とおわび」を継承していると表明する案も検討しているという。

 日韓両政府の協議で、日本側は、65年の日韓請求権協定で賠償問題は「完全かつ最終的に解決」していることから、日本政府や日本企業からの賠償や財団への資金拠出には応じられないと説明してきた。ただ、韓国側が解決案を示し、「誠意ある呼応」を要請。日本側で検討が続いていた。

 複数の日本政府関係者によると、日本政府としては、徴用工問題で新たな謝罪はできないものの、これまでの「反省とおわび」を継承していると表明するのは可能だと判断した。95年の「村山談話」や2015年の「安倍談話」、日韓共同宣言などを踏まえる方向という。日韓共同宣言では、当時の小渕恵三首相が「痛切な反省と心からのおわび」を伝え、金大中(キムデジュン)大統領が「未来志向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請だ」と表明した。

 一方、経団連では、「未来志向」を強く打ち出す狙いもあり、韓国からの留学生に対する奨学金など青少年の交流に関する案が浮上している。韓国の世論が今回の「解決策」をどう受け入れるかも踏まえつつ、具体策を詰めていく。

 日本政府が「賠償問題は解決…

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    江川紹子
    (ジャーナリスト・神奈川大学特任教授)
    2023年3月5日10時1分 投稿
    【視点】

     「おわびを継承」ってどういうことだろうか。先方に向かって、「過去のおわびと反省を継承します」と言うのだろうか。  なんとも奇妙な表現だ。  それに、言われた方はどう思うんだろう。ああ、日本は謝罪と反省を継承してくれたんだー、って肯定的

    …続きを読む