差別発言が出たオフレコ取材とは 意義大きい場合は交渉し実名報道も

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 岸田文雄首相は4日、性的少数者同性婚をめぐって「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと差別発言をした荒井勝喜・首相秘書官を更迭した。

 問題になったのは、荒井氏が3日夜、官邸でオフレコを前提にした取材に答えた発言だった。

 複数のメディアによると、荒井氏は性的少数者や同性婚について、「見るのも嫌だ」「秘書官室もみんな反対する」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」といった趣旨の発言をした。

 こうした発言が問題視され、実名で報じられると荒井氏は3日深夜、改めて記者団の取材に応じ、「見るのも嫌とは言っていない」と一部は否定したものの、報じられた発言の内容はおおむね認め、「完全に撤回させていただく」とした。

     ◇

 取材の現場では、政権運営や政策決定の背景などを把握するため、記者会見など公式の取材機会とは別に、実名での引用を前提としないオフレコ(オフ・ザ・レコード)取材を行っている。

 首相秘書官をはじめ政府高官らが官邸に出入りする際などに、記者団がオフレコ取材をする。取材した内容は、発言者を特定せず、記事で引用することがある。ただ、実名で報道する社会的意義が大きいと判断したときは、取材相手と交渉するなどして、オフレコを解除し、発言を報じる。

 荒井勝喜・首相秘書官は3日、記者団のオフレコ取材に対し、差別発言をした。複数のメディアが実名で報道し、その後、荒井氏が実名報道を前提にしたオンレコの取材に応じ、発言を釈明した。朝日新聞は、荒井氏が差別発言をしたオフレコ取材の場にはいなかったが、発言を釈明したオンレコ取材などを通して、その内容を報じた。

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2023年2月4日23時30分 投稿
    【視点】

    オフレコ発言を報道する是非に議論が集中しているが、そもそもオフレコでなければ権力者やその周辺の本音や本質に迫る取材がなかなかできないメディアの構造そのものが批判され、改善されていくべきではないか。 オックスフォード大学のロイター研究所

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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2023年2月5日9時49分 投稿
    【解説】

     最近の官僚にはメディアとの付き合い方の基本がわかっていない人が増えているように思えてなりません。  私も外務官僚時代には、オフレコでさまざまな情報を記者に提供したことがあります。もちろん私の独断ではなく、上司(通常は局長、場合によっては

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