60年に及ぶ暴行、私は夫の遺影をたたき割った 高齢者DVのリアル

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黒田早織
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 「私もゲンコツで殴られて、何百回傷つけられたことか」

 ある読者から、記者へ1通の手紙が届いた。88歳の女性からだった。手紙には、家庭内暴力(DV)という言葉もない時代から、60年間にわたり暴行を受け続けたという壮絶な人生が記されていた。

 大分県内の静かな住宅街にある戸建て住宅。記者が訪ねると、背筋の伸びた小柄な白髪女性が迎えてくれた。夫は昨年亡くなり、今は1人で暮らしている。DV被害者の声を伝えた6月14日付の記事を読み、筆を執ったという。

夫が亡くなった後も、立ち直れない苦しみ…。高齢者が被害者となるDVには、表面化しにくい特有の背景があります。

きっかけは懐中電灯

 1歳年上の夫と結婚したのは1956年。初めての暴力は、結婚式のわずか数週間後だった。

 夫の郷里にあいさつに向かう時、「懐中電灯は?」と聞かれた。暗い山道を通るとは知らず、用意していなかった。

 それが夫の逆鱗(げきりん)…

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この記事を書いた人
黒田早織
ネットワーク報道本部|東京駐在
専門・関心分野
司法、在日外国人、ジェンダー