同性婚を認めないのは「合憲」 原告側の賠償請求を棄却 大阪地裁
同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は憲法に違反するとして、京都府や香川県などの同性カップル3組が国を訴えた訴訟の判決が20日、大阪地裁であった。土井文美裁判長は、規定について「婚姻の自由」や「法の下の平等」を保障した憲法には違反せず、「合憲」だと判断。原告側が計600万円の賠償を求めた訴えを棄却した。同種訴訟は全国5地裁で起こされ、判決は2例目。昨年3月の札幌地裁は「違憲」としており、判断が分かれた。
同性カップルを結婚に準じる関係と証明するパートナーシップ制度は15年、全国で初めて東京都渋谷区で条例が成立し、導入された。同区などによると、全国200超の自治体に広がったが、法的効果はなく、特別養子縁組で子を持ったり、どちらかが亡くなった時に配偶者として相続したりはできない。一方、海外では約30の国や地域で同性婚が認められている。
訴状などによると、原告3組は2019年1~2月、婚姻届を提出しようとしたが、受理されなかったため、提訴した。
憲法24条と14条の条文
【憲法24条1項】 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 【憲法14条1項】 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
原告側は訴訟で、婚姻の自由を保障する憲法24条は同性婚を禁じておらず、望む相手との合意があれば結婚は成立すると主張。同性婚が認められない影響で、法定相続人や手術の同意者になれないなどの不利益があり、「性的指向に基づく不当な差別を受けている」として、法の下の平等を保障した憲法14条にも違反すると訴えた。
そのうえで、国側には、同性婚を認める法整備を怠ってきた立法不作為の責任があるとし、国家賠償法に基づく賠償を求めていた。
一方、国側は、憲法24条が「両性の合意のみ」で婚姻が成立すると定めている趣旨について「男女を表すことは明らかだ」と反論。婚姻制度の目的は「一人の男性と一人の女性が子どもを産み、育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与えること」であり、同性婚は該当しないとした。
また、憲法14条と立法不作為については「憲法が同性婚を想定していない時点で問題は生じない」とし、原告側の請求を棄却するよう求めていた。
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